打者DeNAソト、投手G菅野が圧倒… セイバー目線で選ぶ9、10月のセ月間MVP

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DeNAのネフタリ・ソト【写真:荒川祐史】

ヤクルトがラストスパートで貯金8、2位でCS進出決める

 広島が3連覇、ヤクルト、巨人がクライマックスシリーズ進出を決め、阪神が17年ぶりの最下位となったセ・リーグ。9月、10月のチーム成績は以下の通りです。

ヤクルト18勝10敗
OPS.697 本塁打27 防御率3.33
DeNA16勝12敗
OPS.724 本塁打39 防御率3.60
巨人9勝9敗
OPS.716 本塁打30 防御率3.18
中日10勝11敗
OPS.728 本塁打17 防御率4.94
広島13勝15敗
OPS.707 本塁打23 防御率4.16
阪神11勝20敗
OPS.719 本塁打19 防御率4.31

 ヤクルトがラストスパートをかけ8つの貯金を作り、混戦を抜け出して2位を確保し、2015年以来のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めました。

DeNAソトが14発と本塁打量産! 規定打席到達前に34発のハイペース

〇9月10月月間MVP セ・リーグ打者部門

ソト(DeNA)
OPS 1.275 wOBA 0.523 本塁打14 長打率.830 RC27 12.34(すべてリーグ1位)
打率.360 出塁率.445

 候補選手は8名ですが、NPB公式の月間MVP最有力候補でもあり、データにおいても他を圧倒したソトを推挙します。

 9月以降、本塁打を量産し、119打席、100打数14本塁打を記録。本塁打率(打数/本塁打)は7.14となり、これは先月のNPB公式パ・リーグ月間MVPの中村剛也(西武)の本塁打率7.58を上回るハイペースです。またシーズンでは459打席416打数41本塁打で本塁打率10.15となり、これは過去10年のシーズンにおいては2013年バレンティンの7.32(439打数60本塁打)に次ぐ記録となります。

 なお、ソトは9月24日の広島戦の第2打席で34号ホームランを打ちましたが、その時点ではまだ規定打席に到達していませんでした。第4打席で35号を放った時点で規定打席に到達ということになりましたが、かなりのペースで本塁打を量産してきたことがわかります。ちなみに規定打席未満で34本の本塁打を記録した打者は以下の通り。

ブライアント(1988年 近鉄 302打席)
ペタジーニ(2003年 巨人 414打席)

 これでソトは、本塁打王と長打率リーグ1位を獲得しました。来季もDeNAはラミレス監督が采配を振るいますが、シーズン終盤に配置した1番・筒香嘉智、2番・ソトという超攻撃的打順は、通年で試す価値があるかと思われます。

 そして9月以降、巨人と阪神の若き主砲が結果を残しています。

大山悠輔(阪神)
打率.348 安打46 本塁打9 四死球12 出塁率.403 
OPS1.054 wOBA0.452 長打率.652 RC27 8.79

岡本和真(巨人)
打率.304 安打24 本塁打7 四死球14 出塁率.409
OPS1.016 wOBA0.436 長打率.608 RC27 9.12

 大山は9月以降9本の本塁打を放ち、シーズンでも2桁の11本塁打となりました。低迷したチームの中でシーズン終盤4番に座り、一人気を吐いた形となりました。

 岡本はシーズンを通じて全試合出場、巨人の4番打者を93試合務め、22歳シーズンで打率.309、本塁打33本、100打点に到達。史上最年少の「3割30本100打点」を記録しました。来シーズンも両者がそれぞれのチームの主軸として活躍することを期待します。

 このコラムで追ってきた丸佳浩(広島)の出塁率ですが、9月の出塁率が.397と4割を切り、結局.468でシーズンを終え、シーズン記録更新とはなりませんでした。しかしながらこれは歴代8位の記録となります。

巨人菅野が月間3完封でセ46年ぶりシーズン8完封! DeNA東も大健闘

〇9月10月月間MVP セ・リーグ投手部門

菅野智之(巨人)
登板7 先発6 4勝1敗 完封3 防御率1.10
WHIP 0.84 被打率.178 FIP2.26 QS率 83.3%
奪三振44 被本塁打1 RSAA 9.44(すべてリーグ1位)
奪三振率8.08

 候補選手は10名ですが、今月は菅野の数値が他を圧倒し、NPB公式でも最有力候補となるでしょう。なお、菅野は、このコラムにおいては5月、8月にも月間MVPに推挙され、今回で3回目の推挙なのですが、本家NPB公式の月間MVPはまだ一度も受賞していません。

 菅野は月間3完封を記録するなど抜群の安定感を見せ、巨人のCS進出に大きく貢献しました。シーズンでも8完封を記録し、これは1978年の鈴木啓示(近鉄)以来40年ぶりの記録となります。ただパ・リーグは指名打者制であることから、投手の打順で代打が送られるリスクはセ・リーグよりも少ないでしょう。そこで、セ・リーグでの記録を紐解くと、1972年の稲葉光雄(中日)以来46年ぶりということになり、投手分業制が進んだ現代では、かなりレアな大記録であると言えるでしょう。

 そして菅野は15勝で、大瀬良大地(広島)と並び、最多勝を獲得しています。そこで両投手のシーズン成績を沢村賞選考基準と比較しながら紹介します。
(カッコ内は選考基準)

登板数 菅野28 大瀬良27(25試合以上)
完投数 菅野10 大瀬良 2(10試合以上)
勝率 菅野 .652 大瀬良.682(6割以上)
投球イニング数 菅野 202 大瀬良 182(200イニング以上)
奪三振 菅野 200 大瀬良 159(150以上)
防御率 菅野 2.14 大瀬良 2.62(2.50以下)

 菅野は勝利数も含め7項目すべてをクリアしており、2年連続の沢村賞受賞は当確と言えるでしょう。なお7項目すべてクリアしての受賞は、2011年に田中将大(楽天)以来ありません。また今年より補則項目として設定された「7回以上投げて自責点3以内」で記録される沢村賞式クオリティスタートにおいても菅野が上回っています。

菅野17(63.0%)大瀬良15(55.6%)

 ちなみにパ・リーグは以下の通り。

岸孝之(楽天)14(60.9%)
菊池雄星(西武)13(56.5%)
則本昴大(楽天)13(50.0%)

 9月以降の成績でもう一人ピックアップしたいのは、東克樹(DeNA)です。5回登板し、2勝0敗、防御率1.74でしたが、セイバーの指標を見ると優秀な成績を修め、特に奪三振率は菅野を上回っています。

被打率.189 FIP 2.96 RSAA 3.57(すべてリーグ2位)
WHIP 0.84 QS率83.3% 奪三振44(すべてリーグ3位)
奪三振率8.08(リーグ1位)

 これで東のシーズン通算成績は

勝敗11勝5敗
防御率2.45(リーグ2位)
WHIP1.12(リーグ3位)
QS率62.5%(リーグ5位)
奪三振率9.06(リーグ1位)
FIP3.02(リーグ2位)
RSAA31.99(リーグ2位)

 となり、セ・リーグ最優秀新人選手の最有力候補と言って差し支えないでしょう。(順位は規定投球回数到達者内でのもの)(鳥越規央 / Norio Torigoe)

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、統計学をベースに、テレビ番組の監修や、「AKB48選抜じゃんけん大会」の組み合わせ(2012年、2013年)などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。一般社団法人日本セイバーメトリクス協会会長。
文化放送「ライオンズナイター(Lプロ)」出演
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