中高生が同世代のFSC認知度を調べ企業に提言

大日本印刷はこのほど、日本森林管理協議会(FSCジャパン)とともに「FSCマーク認知度調査発表会2018」を初めて開催した。SDGsを軸に活動する東京の中高生の有志グループが、全国1181人の中高生を対象に「紙・木材製品の消費に関するアンケート」を実施した前例のない調査で、企画から発表まで子どもたちが全て行った。発表会では、FSCマークを次世代消費者に広める工夫などについて会社員に直接、提言した。(瀬戸内千代)

参加企業は、主催社とイオン、花王、日誠産業、日本製紙、日本生活協同組合連合会、日本テトラパック、日本マクドナルド、三菱製紙、明治ホールディングス、ワイス・ワイス。中学生と大学生を一部含む高校生有志21人が、会社員11人、教育関係者14人と意見を交わした。

FSC認知度は13カ国中8カ国が50~70%を示す中、日本は18%と最下位。従来のFSCによる調査は18歳以上が対象のため、生徒たちは今年7月から9月にかけて日本の中高生に同様の質問を投げかけた。

その結果、まだ消費行動の主役ではない中高生の認知度は20%未満で大人と大差ないものの、FSCへの積極性(将来購入する、人に薦める、高くても買う)は大人よりも総じて高かった。特に高かったのは、理科などの教科と絡めて環境・社会問題を学び、SDGsに取り組む学外の大人と交流する「未来教育デザイン授業」を受けた生徒で、大人の2倍以上と突出していた。

結果を分析した生徒たちは、学校や企業に対して、「教科でのSDGs教育」「次世代消費者のニーズに合わせたモノづくり」「企業と教育機関の連携」を求めた。また、「先生の熱意が大事」「テレビ・ラジオよりSNS活用を」といった意見も伝えた。

生徒たちの共通点は、都立武蔵高校の山藤旅聞(さんとう・りょぶん)教諭の授業を受けたこと。山藤氏は約2年前から年間50回ほど「未来教育デザイン授業」の出前授業を各地で実施してきた。今では複数の学校の高校生がつながり、20個ほどのプロジェクトを動かしているという。今回の調査と発表会は、春にFSCジャパンを訪問した生徒たちが主体となって実施した。

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