航路引き継ぎへ新会社 五島産業汽船元従業員 長崎―鯛ノ浦

 五島産業汽船(長崎県新上五島町)が経営破綻し離島航路を突然運休した問題で、同社の元従業員らが新会社「五島産業汽船株式会社」を設立したことが12日、分かった。運休している長崎-鯛ノ浦(同町)航路を引き継ぐ方針とみられる。

 新上五島町や登記簿によると、会社成立は10日付。新会社は旧五島産業汽船から高速船「ありかわ8号」(定員79人、58トン)と鯛ノ浦港ターミナル、旧五島産業汽船の事務所(同町鯛ノ浦郷)を購入。事務所を本社とする。解雇された従業員ら20人を雇用。元従業員の1人が代表取締役を務める。資本金は1500万円。

 新会社は12日、長崎-鯛ノ浦航路の引き継ぎを九州運輸局に申請、受理された。同局は1カ月以内に認可するかどうか決める方針で、新会社は早期の航路再開を目指す。

 旧五島産業汽船は長崎-鯛ノ浦、佐世保-有川(新上五島町)、佐世保-福江(五島市)各航路のほか、長崎-熊本・天草でも高速船を試験運航していたが、いずれも1日までに休止や廃止を九州運輸局に届け出ていた。

 佐世保-有川航路を巡っては、九州商船(長崎県長崎市)が高速船とフェリーを1日3往復運航しているが、ダイヤの関係で佐世保に最大2時間20分しか滞在できず、通院などの日帰り利用が不便になっている。九州商船は新上五島町の要請を受け、同航路のダイヤ変更を検討している。

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