河北春秋(10/14):福島県川内村で切り出されたヒノキで組んだ…

 福島県川内村で切り出されたヒノキで組んだやぐらが空高く舞った。高さ4メートル、重さ1トンものやぐらを36人の男衆が片手で受け止めると、大きな拍手と歓声が神社の境内に響き渡った▼江戸初期から続く長崎市の秋祭り「長崎くんち」。7年に1度、祭りの担当を割り振られた「踊り町」の人々らが色鮮やかな衣装に身を包み、異国情緒豊かな出し物などを奉納する。今年も7~9日、市中心部に近い諏訪神社などで行われた▼人気の出し物の一つ「太鼓山」と、東京電力福島第1原発事故で被災した川内村を結びつけたのは、長崎大原爆後遺症医療研究所の高村昇教授(50)。事故間もない2011年12月から村に入り放射線量調査を行い、住民の帰還が始まった後は健康相談などを続ける▼「長崎が福島の復興を応援していることを伝えたい」。市民有志から相談を受け、木材の使用を提案。村側も「日本を代表する祭りに使われるのは名誉だ」と応じた。3年前に長崎に送られ、35年ぶりに新造されたやぐらの材料となった▼阿武隈山地に抱かれた川内村は元々林業が盛ん。人手不足に加え、原発事故の風評被害も加わって主力主産業の復活にはさまざまな課題が待ち受けるが、伝統の祭りに受け入れられたことは、多くの人に勇気を与えたはずだ。(2018.10.14)

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