市名変更問題、決着か 篠山市住民投票&出直し市長選ねじれたら?

住民投票と市長選の同日実施で揺れる篠山市。写真中央は篠山城大書院、その奥が篠山市役所

 「丹波篠山市」への市名変更の賛否を巡り、11月18日の同日実施が決まった篠山市の住民投票と出直し市長選(いずれも11月11日告示)。投票率や対立候補の有無、二つの投票の結果によって、市の進む方向は幾重にも分岐する。「住民投票は成立するのか」「来年2月にまた市長選?」「二つの結果がねじれたら」-。複雑な展開に、市民からも「ややこしい…」とため息が漏れる。(金 慶順)

■50%の壁

 同市の条例によると、住民投票は投票率50%未満の場合は成立せず、開票作業そのものが行われない。

 一方の市長選は、どんなに投票率が低くても無効になることはない。出直し市長選への立候補を表明している酒井隆明市長は「住民投票と市長選を同日に行えば投票率は上がると思う」と期待を込める。

 過去の篠山市長選は2015年が無投票で、11年は投票率48・45%、07年は同59・64%。50%の壁が低いとはいえず、市名変更の賛否を問う住民投票が成立しないケースも想定される。不成立の場合、市名をどうするかの方針は明らかにされていない。

■2月進退明言せず

 投票率が50%に達した場合も、二つの結果が単純に連動するとは限らない。

 市名変更を推進する酒井市長が当選する一方で、住民投票では「変更反対」が多数を占めた場合はどうなるのか。会見で酒井市長は「考えたことがない」「市長だけ続けていけるのか、難しい」と答えた。

 現職市長が当選した場合、本来の任期が満了する来年2月に再び市長選が実施されるが、その際の進退は「明言できない」とする。

 「酒井市長が落選」「市名変更は賛成多数」となった場合はどうか。2月の市長選は行われず、新市長が4年間の任期を務めることになる。住民投票の結果に法的拘束力はないとはいえ、市名変更手続きは進むとみられる。

■対立候補出るか

 市長選に対立候補が出なければ、住民投票が単独実施される。投票率が50%を下回れば何の結果も示されず、多額の税金が無駄になる恐れがある。酒井市長は再選され、来年2月に再び市長選が行われる。

 市や市選管が明らかにした経費は、住民投票に2673万円、市長選に約470万円(無投票の場合は約70万円)。来年2月の市長選にはさらに2891万円の予算を計上している。

 この複雑さは市民の投票行動にどう影響するのか。関西学院大学の北山俊哉教授(行政学・地方自治論)は「住民投票の実施に合わせて市長が辞任するのは珍しい」とし、「人物を選ぶ市長選と、一つの問題について賛否を決める住民投票を同時に行うのは好ましくない。争点は何なのか、市民が戸惑う可能性がある」と指摘する。

【篠山市の市名変更問題】 酒井隆明市長が今年8月、「丹波篠山市」への市名変更方針を表明。一方、変更の賛否を住民投票で問うよう求める市民団体「市名の名付け親になろう会」が署名活動を行い、必要数を超える1万人以上を集めた。これを受けて酒井市長は10月2日、「市民に信を問う」などとして辞意を表明。9日に、住民投票と出直し市長選の同日実施が決まった。

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