高寺山の伝説(10月14日)

 会津坂下町の西側にある高寺山[たかでらやま](四〇二メートル)には、埋蔵金が隠されていると語り継がれてきた。在りかを示す暗号なのか、こんな歌が地元に伝わる。「立てば前 座れば後ろ 黄金千杯 朱千杯 みつばうつぎの下にある」。

 六世紀半ばに仏教が中国から直接伝わり、大伽藍[がらん]が立ち並ぶ仏教文化が花開いた−。一帯には、そんな壮大な伝承も残る。八世紀後半の戦乱で滅亡したといわれ、その際に埋めた財宝がどこかで眠っているのだという。古来、それを求めて多くの人々が深い森を分け入った。だが、根拠となる寺院跡が見つかっていなかったから、史実には程遠かった。

 ところが、町教委の最近の発掘調査で、托鉢[たくはつ]で用いた鉢の破片や建物の土台に使われる礎石などが発見された。八世紀末から九世紀の遺構らしく、伝説とは時代のずれがある。関連があるのかどうかは、今後の研究を待つことになる。町は遺跡の国史跡指定を目指す。「仏都会津」に新たな光が当たることになろう。

 きょう十四日、現地で一般向けの説明会が開かれる。歴史に関心を持つ住民が山を登り、貴重な遺物を目にする。それは「黄金千杯」にも増して、尊い古里の宝である。

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