社説[与那国町議会]自治能力欠く議長選び

 議長を選ぶ選挙を実に49回も重ねた。それでも決めることができず、とうとう週明けの15日以降に持ち越してしまった。前代未聞のドタバタ劇である。

 与那国町(外間守吉町長)の町議会議員選挙が行われたのは9月9日。定数がこれまでの6人から10人に増え、選挙の結果、与野党の勢力が5対5の同数となった。

 9月28日、選挙後初の議会が開かれ、議長を選ぶ選挙が行われた。

 議長は採決に加わらない。与党から議長を出すと議会は与党少数となり、野党から出すと野党少数となる。

 議会に予算案や人事案などを提案し、承認を得なければならない町当局にとっては、与党多数でないと困る。

 与党の5人は野党の1人に票を投じ、野党の5人は与党の1人に票を投じた。

 与党側は野党に、野党側は与党に、議長ポストを押し付け合う、という構図である。

 選挙で同数になった場合、地方自治法や公職選挙法に基づいてくじ引きで決めることになっている。

 くじにあたった議員は、まるで申し合わせたように議長就任を辞退し続ける。

 そのような茶番劇が連日、繰り返されてきたのである。

 自治体議会では議会運営上、与党から議長を出すのが慣例になっている。それに従えばとうに解決しているはずなのに与野党の感情的対立はエスカレートする一方だ。

 49回の議長選というのはあまりにも異常である。一体いつまで続けるつもりなのか。

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 野党は「慣例に従うべき」だと主張する。これに対し、与党は「野党が多数を占めると議会提出案件が次々に否決され、行政が停滞する」と指摘する。

 議員定数を6人から10人に増やす議員定数条例の改正案は、与党側の2人が慎重審議を求めて採決時に退席したため、野党3人によって可決された。

 「定数を増やした野党が(議長就任の)責任をもつべき」だと与党側は主張する。

 この混乱劇には、町長派と反町長派の対立という側面があり、双方とも譲歩する気配はまったくない。

 議長選出の見通しが立たないことから町当局は12日、緊急性を要する補正予算約3億9千万円の専決処分に踏み切った。議会の承認を経ずに予算執行ができるようにするためだ。

 長期化の影響は各面に現れ始めており、町民からも批判の声が上がっている。

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 法律は、議長選で獲得した票が同数の場合、くじで決めることを定めているが、くじで当選した議員の辞退が続くことまでは想定していない。

 打開策はないのだろうか。

 このままドタバタ劇が続けば、「議長も決めきれない議会」としてその名を全国にさらすことになるだろう。

 有権者は9月9日の町議会議員選挙で、それぞれ思いを込めて1票を投じたはずである。まさか、こんなていたらくだとは思いもよらなかったに違いない。

 これ以上、押し付け合いを続けてはならない。

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