アート通じ南郷の魅力知って 「小さな芸術祭」20日開幕/青森・八戸 プロジェクト8年の集大成

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「なんごうカルタ」の制作に携わったばばみほこさん=11日、八戸市
タオライアーを奏でるアートプロジェクト初参加のNonoさん=4日、八戸市

 青森県八戸市南郷地区で2011年にスタートした「南郷アートプロジェクト」。プロのダンサーやパフォーマーを招聘(しょうへい)した企画をはじめ、映画制作やワークショップなど数々の企画を展開。8年目を迎えた今年、これまでの成果を一堂に集めた「なんごう小さな芸術祭」が20日、幕を開ける。南郷の魅力を詰め込んだ初の試みでもあり、歴史や郷土芸能を題材としたイベントを用意。各企画に携わる関係者たちも「もっと多くの人に南郷を知ってほしい」「新たな一面に気付いて」と気持ちを高めている。

 フリーライターとして活動するばばみほこさん(37)=本名・馬場美穂子、八戸市在住=は、住民の暮らしや地域の歴史をまとめた「なんごうカルタ」の制作に携わった。

 60~90代52人への取材を通し、さまざまなエピソードを収集。「美しい自然の中に、南郷には力強く生き抜いてきた住民の歴史がある」と語る。

 05年に東京から地元・八戸にUターンした後、タウン情報誌や広告、ウェブサイトなどで記事を執筆。16年に同市で「ばばことば事務所」を立ち上げ、3カ年計画で始まったかるた制作に関わることとなった。

 2年にわたり徹底した取材を敢行し、結婚や仕事、風習など多岐にわたる話を聞き込んだ。当時、旧南郷村では捕鯨をするため出稼ぎに出る男性が多かったことから、「三回で りっぱに建つよ くじら御殿」、女手一つで子どもを育て上げた話からは「めそめそしないの 母になったら 女は強し」など、札1枚ずつに南郷の歴史と住民の思いを書き入れた。

 イベント期間中、朝もやの館でかるたの原画などを紹介する。ばばさんは「住民一人一人に必ず物語がある。かるたを通して、それぞれの生きざまを感じ取ってほしい」と話す。

 アートプロジェクトは回を重ねるごとに、さまざまな人たちを巻き込んできた。今年7月においらせ町から南郷へ移住したNonoさん(37)=本名・毛利信子さん、福島県出身=もその一人。芸術祭では、八戸市南郷島守在住のアーティスト山本耕一郎さん宅を会場とした交流イベント「barスマモリ」のマスターとして初参加を果たす。

 進学や就職などを理由に全国各地で生活。ピアノ講師を長く務めていたが、ドイツ生まれのたて琴・タオライアーと出合ってからは、優しく美しい音色に魅了され、演奏家へと転身した。

 おいらせ町で生活をしてきたが、今年4月に友人に誘われて初めて南郷を訪問。自然豊かな不習岳のとりことなり、「ここに住みたい」と即座に決意した。

 拠点を移して3カ月が過ぎ、「地域の人たちもすぐに受け入れてくれて、その優しさにとても助けられている」とほほ笑む。

 barスマモリでは、ヒーリング効果があるとされるタオライアーの穏やかな音色を来場者に届けるつもりで、「自分も南郷に住む一人としてイベントを盛り上げながら、これまでの恩返しもしたい」と意気込む。