<高校生のシゴト力>高校生コンサルタント/青森・五所川原農林高 GAP取得目指す農業者へ助言

エムケイヴィンヤードのブドウ畑で同社の工藤さん(中央)から生産状況などを聞く「高校生コンサルタント」の生徒たち=8月2日、むつ市川内町(五所川原農林高提供)

 産業の衰退や人口減といった地域課題の解決に、高校生たちが力を発揮している。斬新な発想力とチャレンジ精神で生み出したビジネスアイデアが、地域振興の新たな推進力として各地で注目を集めている。河北新報社は東北各県と新潟の有力紙と共同で、そうした高校生たちの取り組みにスポットを当て、「高校生のシゴト力(りょく)~地域を売り出せ」と題して、支える人たちとともに紹介する。

 五所川原市の五所川原農林高校(菊地建一校長、生徒404人)は本年度、これまで蓄積したノウハウを生かした新たな取り組みを始めた。農産物の安全性などに関する国際規格グローバルGAP(ギャップ)の認証取得を目指す農業者を、生徒が指導する「高校生コンサルタント」だ。同校は今夏、むつ市のブドウ生産法人と連携協定を締結、地域資源の豊かさを再発見しながら「下北ワインの全国ブランド化」を後押ししている。

<畑などを点検>

 同校は8月2日、むつ市川内町の農業生産法人「エムケイヴィンヤード」(北村良久社長)と、ワイン用ブドウのGAP認証の取得を支援する連携協定を締結した。同法人は下北ワインを製造・販売しているサンマモルワイナリーのグループ企業で、原料のブドウを生産している。

 締結式には、同校グローバルGAPチームのメンバーで、コンサルタントを務める3年の加藤雅也さん、小野綾香さん、工藤未来さん、2年の加藤雄己さんの4人が出席し、セレモニー終了後、同社圃場(ほじょう)管理部の工藤和幸さん(22)の案内でブドウ畑などを見て回った。

 GAP認証取得には、農薬の管理など200項目以上の審査がある。同校は、ソフトウエア企業NECソリューションイノベータ(本社東京)のGAP認証支援サービスを利用し、インターネットを通じて法人の生産管理状況や現地の点検結果などをチェック。これまで農薬、資材の保管方法を改めるようアドバイスしている。

 コンサルタントを務める同校の工藤未来さんは「施設を改善するのにも、会社には予算があるので大変だった。でもやりがいがあった」と話す。

 一方、生徒たちからアドバイスを受けた同社の工藤和幸さんは「農機具と資材を一緒に保管していたが、別々にするように改善した。生徒の説明は専門用語を易しい言葉に言い換えて分かりやすい」と評価する。

<現場から刺激>

 同校のグローバルGAP取得は、地域の農業を担う生徒たちに国際性を身に付けてもらおうと、2015年度に始まった。認証品目はリンゴ、コメ、メロンと増え、現在、ジャガイモでの取得を目指している。

 さらに、GAP取得のノウハウを地域に還元するとともに、生徒自らも学んだことを検証し、レベルアップしようと、「高校生コンサルタント」を本年度スタートさせた。

 コンサルタントは生徒たちにとって、実社会で働く人たちと接し、多くの刺激を受ける機会にもなっている。1年前までは人前で話すのが得意ではなかったという小野さんは「これほど人前で話せるようになるとは思っていなかった。GAPの取り組みで多くのことを経験して自分を変えることができた」と話し、加藤雅也さんは「改めて農業の魅力を感じた。将来は農業をしたい」と力強く語る。

 菊地校長(57)は「生徒たちと話していると、真摯(しんし)な姿勢と自分たちの取り組みに対する自信、プライドを感じる。GAP取得やコンサルタントを通して成長する様子が手に取るように分かる」と取り組みの成果に自信を深めていた。 (東奥日報社五所川原支局・三浦博史)

[東北・新潟8新聞社共同企画] 河北新報社、東奥日報社、岩手日報社、秋田魁新報社、山形新聞社、福島民報社、福島民友新聞社、新潟日報社

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