オバマ氏の「イエス・ウィー・キャン」で語られる2008年米大統領選は…

オバマ氏の「イエス・ウィー・キャン」で語られる2008年米大統領選は、その勝利をたたえたマケイン氏の敗北宣言によっても記憶されている

▼オバマ氏をたたえるたびに支援者から起こるブーイングを手で制止しながら「彼は米国人の希望をかき立てました」「私たちはみんな共に米国人なのです。この共通項ほど大事な絆はありません」と語りかけた

▼選挙が終われば国は一つ、と呼びかけたマケイン氏は、同じ共和党が生んだトランプ大統領が国民分断の口調を強めるなか、この夏死去した。葬儀や追悼式典に党派の別なく大勢が参列した日、トランプ氏はゴルフ場にいた

▼さかのぼればマケイン氏はベトナム戦争の英雄だった。捕虜になったとき、父親が海軍司令官だったため北ベトナム側から早期解放を持ちかけられた。だが仲間と同じでない扱いを拒否し、5年半拘束されて拷問も受けた

▼松葉づえを突いて帰国し、連邦議会議員になったこの人の信条「米国は一つ」は筋金入り。現大統領のやり方を厳しく批判した。こういう人が与党内にいたことは米国の救いだ。昨年からの米国には多々失望させられたが、マケイン氏を悼む輪が党派を超えて米国内に広がったことは、世界にとっての救いになった

▼生前に最後の手紙を書き残していた、と毎日新聞が伝えていた。「今の困難に絶望するな。米国の未来と偉大さを信じろ」。国民宛てだった。

=2018/10/14付 西日本新聞朝刊=

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