G20会合 世界の経済秩序回復せよ

今こそ結束を強め、協調を図らねばならぬ正念場だったのに、無力感の残る会合となった。

日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)が、インドネシアで開いていた財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した。

米国と中国の貿易紛争が激化し、会期中に世界的な株価急落に見舞われ、新興国経済にも不安がよぎる中での開催だった。

会合では、各国が「貿易摩擦は解決する必要がある」との認識を共有しながらも、共同声明採択は見送られ、議長が「G20は貿易摩擦を巡る協議の場は提供できるが、解決は当事国間でなされるべきだ」と腰を引くなどG20の限界を自ら露呈した。

だが、世界経済の動揺に対してG20が協調政策を主導してきた歴史は重い。その役割が今こそ求められている。保護主義、自国第一主義の米国を国際協調主義に呼び戻す必要がある。

今回のG20には、二つの切迫したテーマがあった。

一つは米中の貿易紛争解消に向け、各国が協調できるかだった。会合ではその必要性は認めたが、具体策は見いだせず、解決を当事国に丸投げした。

米中の貿易紛争は制裁関税と報復関税の応酬が続き、もはや戦争化しており、既に日本企業を含む世界のサプライチェーン(調達・供給網)に悪影響も出始めている。

折しも今回の会合に先立ち、国際通貨基金(IMF)は貿易摩擦悪化を理由に、来年の世界経済の成長率予測を2年ぶりに引き下げた。米国と中国の成長率も0・2ポイントずつ下方修正し、それぞれ2・5%、6・2%に減速するとした。トランプ氏のどう喝的な通商政策、報復一辺倒の中国の対応が、世界経済を減速させ、自国の経済も損なわせかねないことを示している。

もう一つは新興国経済変調への対応だ。米国の利上げに伴う長期金利上昇は、先週、株価を急落させ世界に動揺を広げたが、米国の利回り改善で新興国に流入していた資金も米国に還流している。新興国からの資金流出が加速すれば、新興国通貨は下落し、ドル建て債務の返済負担も重くなる。アルゼンチンやトルコでは資金流出と通貨安が加速している。南アフリカやインド、ブラジルなども心配だ。こうした変調が世界経済の不安定化につながらないよう迅速な対応を求めたい。

今会合でも米国は他国の意見に耳を貸さず、激しい論議もなかったようだ。黙認は追認につながる。世界経済変調のリスクが高まる中、米中の紛争を何らかの回路で収拾に導くことの重要性は一段と増している。困難だがG20主導で経済秩序の立て直しに挑まねばならない。

=2018/10/14付 西日本新聞朝刊=

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