灘のけんか祭り“枕詞”ヒストリー あなたならどう表現?

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(上段)神社前での神輿合わせに熱狂する人たち=1982年(下段左)掛け声勇ましくお旅山を登る屋台=1970年(下段中央)村と村の誇りがぶつかる屋台の練り合わせ=1973年(下段右)かやぶき民家の前を通って屋台がお旅山へ向かう=大正時代

 きょう14日に宵宮、15日に本宮を迎える松原八幡神社(兵庫県姫路市)の「灘のけんか祭り」。神戸新聞120年の報道を振り返ると、「播州路(ばんしゅうじ)の秋を色どる名物」や「勇壮な男の祭り」など、さまざまな“枕詞(まくらことば)”を記事の冒頭に添えて紹介している。祭りどころを前面に出すか、神輿(みこし)合わせや屋台練りに象徴される勇ましさで切り取るか、描写にこだわるか。シンプルなようで奥深く、一言では表しづらいけんか祭りを、あなたならどう表現しますか。

 神戸新聞社が、けんか祭りの様子を初めて紹介したのは創刊8年目の1905(明治38)年。記事では「播州にて有名なる喧嘩祭」と端的に表しているが、けんか祭りが当時から広く知られていたことがうかがえる。

 戦前は、知名度の高さを強調する枕詞が多く、100年前の1918(大正7)年は「播州名産屋臺(やたい)祭」、35(昭和10)年は「播州随一秋祭りの豪華版」と仰々しい。 ◇祭りどころ

 戦後になっても、「播州名代」(50年)「播州名物」(55年、58~60年)といったシンプルな表現がある一方、地元の盛り上がりを意識したような書きぶりが目立つようになる。

 70年代はその傾向が顕著で、「播州路の秋祭りのクライマックス」「播州路秋祭りのハイライト」などと存在感を強調。「播磨路の秋祭りの真打ち」とまでうたっている年もある。 ◇勇ましさ

 通称の「けんか祭り」と結び付きやすいためか、神輿や屋台をかつぐ男衆の勇ましさを取り上げた表現も多い。

 「勇壮さを誇る」(68、69、71年)「豪快な男の祭り」(75年)「勇壮さ、男っぽさの代名詞」(82年)-などが代表格。「裸の男の力と力がぶつかり合う」(79年)「年に一度の男の晴れ舞台」(87年)のように、男衆のプライドに焦点を当てた記述もある。 ◇描写重視

 記事冒頭の枕詞といえば、エッセンスを詰め込み、簡潔にまとめるのが一般的とされる。この“常識”にあらがうように長く具体的で、描写や息づかいなどにこだわった年もある。

 62年の「荒っぽいミコシのぶちかまし、豪華な屋台の練り合わせで有名な」は見どころを凝縮したよう。「ドンドコドンと太鼓の音に胸はずむ」(52年)や「夜明け前から始まり夜遅くまで太鼓の音と『ヨーイヤサ』のかけ声が鳴り響く」(81年)は、播州人のアイデンティティーがにじむ。

 55年の特集面では「けんか祭という名のとおり、押しあい、もみ合い、ぶつかりあって、死傷者の出ることも珍しくない」と説明している。 ◇シンプルに

 60年代までの神戸新聞は、地域版のみの掲載が多かったけんか祭り。近年は、1面やグラフ面などを使って多彩に取り上げるようになったが、枕詞は極めて単純な二つの表現に集約されている。

 「『灘のけんか祭り』で知られる松原八幡神社の秋季例大祭」

 「播磨を代表する祭りとして知られる『灘のけんか祭り』」

 “シンプル・イズ・ベスト”を地でいく書きぶりだが、往年と比べるとどうだろうか。今年、平成最後のけんか祭りを飾る枕詞は、果たして-。(小川 晶)