『セックスワーク・スタディーズ』 人権保護へ多角的に知る

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 「セックスワーク」という言葉を聞いたことがあるだろうか。セックスワークとは「性風俗における性的サービスの提供を労働として捉える」ために使われる用語である。性風俗に関して「賛成」「反対」など何かしらの意見を持っている人は多いように思う。一方で、セックスワークを行うセックスワーカーの多様性や困りごとについて具体的に知っていますよという人は少ないのではないだろうか。

 「セックスワーカー支援に取組む/取組もうとする人たち、また広く性風俗の問題について考えたいと思っている方たちのお役に立てれば幸いです」と謙虚に始まるこの本は、セックスワーカー当事者、研究者、支援者、ライターたちによって協働で作り上げられた労作である。歴史・法など専門的な議論も分かりやすく書かれており、間に挿入されるコラムや巻末にある用語集・年表は理解を助けてくれる。また、当事者の体験も織り込まれており、多様な働き方の存在や当事者が主体性を発揮できるようになっていく個々のプロセスを知ることができる。

 構成は3部構成となっており、第1部「社会の中のセックスワーク」では、言論や支援の場、人々の意識、法制度におけるセックスワーカーの捉えられ方が整理されている。第2部の「セックスワーカーの権利を守るには」では、セックスワーカーが権利の主体であることを確認した上で、どのような権利侵害が起きているのかがまとめられている。第3部「セックスワーカーとの関わりかた」では、どのようにセックスワーカーに関わっていけばいいのかについて様々な立場から具体的に提言されている。

 本書の中で、複数の論者が指摘しているが、性に関する議論は、自分の経験や価値観に引きずられてしまうことが多い。セックスワークを多角的に知ることで、自身の言動が他者を傷つけたり、黙らせたりしていないかを振り返るきっかけになるだろう。本書は人権が守られ、誰もが安心・安全に生活できる社会に近づくための力強く大きな一歩を踏み出してくれたように思う。(玉城福子・沖縄国際大、沖縄大非常勤講師)

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 SWASH Sex Work And Sexual Healthの略で、1999年設立。性風俗などで働く人が健康で安全に働きまた、辞めたい時にも健康で安全に辞められる状況を目指す活動をしている。

 
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