コミュニケーション手段にも 中島賢一氏

◆eスポーツの可能性

eスポーツとは、対戦型のデジタルゲームをスポーツ競技として捉えた際の名称である。2018年2月にeスポーツを推進する団体「一般社団法人日本eスポーツ連合」が設立されて以降、急速に国内で知られるようになった。しばしばeスポーツはゲームでありスポーツではないという議論があるが、海外ではチェスや囲碁はマインドスポーツと呼ばれており、eスポーツもスポーツとして定着しつつある。

海外では数億円の賞金をかけて大会が開催され、1万人を超える観客が会場に詰めかける。その模様は世界中にネットで配信され、数千万人が視聴する。優勝者はスターとしてたたえられ、スポンサー契約が結ばれる。スター選手を育成するために専門のコースを作り、奨学金を支給する大学も存在する。

国内でもeスポーツの機運は高まっている。19年の「いきいき茨城ゆめ国体」にeスポーツが文化プログラムとして登場し、日本eスポーツ連合の運営の下、全国都道府県対抗eスポーツ選手権が開催される。同年2月には米国ラスベガスの国際的なeスポーツの祭典「Evolution Championship Series(EVO)」の福岡開催が予定され、eスポーツの普及だけでなく、経済振興、国際交流の観点でも期待される。

福岡は国内トップレベルのゲーム開発企業が集積している地域であり、産学官が連携して、人材育成や市場開拓、ゲーム制作の拠点としてのアピールを行っている。

EVOの主催者はゲームに親和性の高い都市として福岡を選択しており、イベント当日の運営だけでなく、地元の商店街や企業、市民との交流を望んでいる。

とかくイベントにとらわれがちなeスポーツだが、性別、年齢、場所、障害の有無に左右されにくいことから、コミュニケーションを促進するツールとしても注目されている。沖縄で開催されたeスポーツ大会では不登校の子どもが参加し他の出場者と交流したことから、引きこもりの解消につながると期待される一面も持っている。

国内では体を動かすことがスポーツという認識があるが、運動が苦手な人が手軽に参加でき活躍できるeスポーツが発展し、豊かな社会形成に寄与することを期待している。

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中島 賢一(なかしま・けんいち)福岡アジア都市研究所調整係長1971年生まれ。福岡市経済観光文化局でゲーム産業振興を担当後、現職に出向。福岡eスポーツ協会会長を務め、eスポーツに関する研究・普及活動を行う。

=2018/10/14付 西日本新聞朝刊=

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