電源は湯沢の温泉と沢水!温度差利用し発電実用化試験 まずは照明、将来はWi-Fiに活用

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温度差発電で点灯したLED照明。足湯の明かりに利用している
研究チームが試作した発電装置

 温泉と沢水の温度差を利用した発電の実用化試験が秋田県湯沢市で進められている。訪日外国人旅行者(インバウンド)向けに公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」機器の電源とするのを目指し、地元メーカーと秋田県内の研究機関が取り組む。2020年の実用化が目標で、準備段階として足湯の照明で実験している。 ◇◆◇

 実用化試験「ゆざわ熱電プロジェクト」に取り組むのは、湯沢市の航空機内装品製造ロイヤルパーツと秋田大、秋田県立大、秋田県産業技術センター。

 研究チームは今年6月、市内の小安峡温泉にある足湯「あぐりの湯」にLED電球を設置。近くの小屋に温泉と沢水を引き入れ、試作した装置で約50度の温度差を利用して発電し、LED電球を光らせる。泉温を示す電光掲示板もこの方式で発電した電気を用いている。

 温度差発電は物質両端の温度差で電圧が生じる「ゼーベック効果」を利用する。「熱電変換素子」を数十枚重ねた装置に温泉と沢水を流して電気を取り出す。

 ロイヤルパーツ新事業・開発課の柴田努課長は「小安峡温泉は泉質が中性で電子機器に与える負担が少ない。泉温も高く、温度差発電に向いている」と話す。

 温泉の湯も沢水も24時間供給できるため、再生可能エネルギーの中では太陽光や風力に比べて安定的な発電ができ、電池は不要。発電量が小さいのが短所だが、温泉地の観光資源としても期待できる。

 来年はワイファイ機器の電源として活用する試験に臨む。

 柴田課長は「沢水を使った水冷式装置の実用化を図るのと同時に、将来的には沢水のない所でも使えるよう空冷式に改良して持ち運びできるようにしたい」と語る。