51年前の行程で兵庫県3百キロ縦断 山の頂つないで歩く

台風一過の雪彦山頂には雲海が広がっていた=9月5日、姫路市夢前町(坂田さん提供)

 今から51年前の1967年7月、兵庫県政100年を記念して武庫川女子大学(西宮市)の学術調査隊が、県内を南北に縦断しながら方言や植物を調べた。県政150年の今年、同大学OGの坂田洋子さん(52)=三田市=が先輩たちの足跡をたどろうと、テント泊などを繰り返しほぼ同じ行程を1人で歩いた。全長約300キロ。主要な山の頂を9日間かけてつないだ先に見えたのは、兵庫の広さと多様性だった。

 当時の調査隊の報告書によると、隊員は全ての行程を踏破する「全走隊」のほか、方言、民俗、植物を調べる3班の「学術隊」から成る総勢約30人。淡路島南端から北上し、姫路の書写山や雪彦山、神河町の砥峰高原などを通過。氷ノ山や蘇武岳といった但馬の高峰を越えて香住に至った。県が後援し、行政が学術隊の移動のための車両を提供、神戸新聞記者も同行するなど注目の事業だった。

 坂田さんは高校3年生の時、三田から武庫川沿いを歩いて西宮市の河口へ向かい、そこから自宅があった神戸市東灘区まで徒歩で帰ったことで冒険に目覚めた。武庫川女子大では山岳スキー部で登山の経験を積んだ。数年前、同部の先輩から調査隊の存在を聞き、県政150年の今年に同じルートをたどろうと計画を練ってきた。

 坂田さんは8月30日に南あわじ市灘土生を出発。50年前のルートに加古川、高砂市境の高御位山などを加え、途中で台風21号による1日の停滞を挟んで9月8日、香住に到着した。

 「携帯電話もコンビニもない51年前の行程は大変だったと思う」と振り返る坂田さん。当時と現在との対比が印象的だったという。

 例えば、映画のロケで有名になった砥峰高原は、調査隊の報告書では「緑を失ったむき出しの赤土が目立つ」「開拓で荒れており、残念」などの記述があったが、坂田さんは「環境が整備され、今では多くの人が訪れる人気スポットだった」。一方、但馬の鉢伏山は「稜線が報告書の写真とまったく同じだった」と変わらない風景に感動した。

 台風に進路を阻まれるなど予想外の出来事はあったが、坂田さんは「150年の節目に、兵庫の大きさを体で感じることができた」と充実感を漂わせた。(高見雄樹)

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