”職人荒木” 最後の輝き 中日一筋23年、現役引退 声詰まらせファンに感謝

引退セレモニーでチームメートから胴上げされる中日の荒木雅博選手=13日午後、名古屋市のナゴヤドーム(池田祐介)

 「ありがとう」「立派だったぞ」。ドラゴンズ一筋23年。通算2千安打の偉業を成し遂げた生え抜き選手へ、スタンドからのねぎらいの声が続いた。プロ野球中日の荒木雅博選手(41)=菊陽町出身、熊本工高出=が13日、引退試合となった本拠地ナゴヤドーム(名古屋市)での最終戦に「1番二塁」で先発出場。「背中を押してくれた」と感謝する地元ファンの前で5打数2安打。堅守と俊足を誇った“職人”は最後の輝きを放ってバットを置いた。

午前10時。荒木選手は練習のためにグラウンドに現れ、「今日は特別な感情がある。最後まで楽しんで自分のプレースタイルを貫きたい」と意気込みを語った。

 ドームには3万6130人のファンが集結し、最後の雄姿を見守った。菊陽町から駆けつけ、スタンドから見守った父義博さん(67)と母良子さん(65)は「ついにこの日が来た。ここは何度も訪れたが、今日が息子の最後のプレーと思うと寂しい」とぽつり。一方で「けがの心配はなくなるので、ほっとした部分も大きい」と親心をのぞかせた。

 最大の見せ場は八回裏。スタンドのファンが「ARAKI」とプリントされたボードを掲げ、「押せ押せアラキ」と大声援を送る中、この日2本目、通算2045安打となる右前打を放った。続いて狙った盗塁は失敗したが、スタンドからは大きな拍手が送られ、ベンチの仲間もハイタッチで迎えた。

 スタンドで観戦した熊本工高元監督の山口俊介さん(72)は「昔から走塁で流れを持ってきてくれる男だった。努力の大切さを身をもって教えてくれた」。菊陽中野球部の後輩で幼なじみの矢野将幸さん(40)=菊陽町=は12日に名古屋入りした際、荒木選手が空港まで車で迎えに来て、ホテルまで送ってくれたという。「優しい兄貴のような存在。コーチや監督としてまたグラウンドに立ってほしい」と期待を寄せた。

 試合後の引退セレモニーでは、同い年で元チームメートの阪神・福留孝介選手(41)から花束を受け取り、仲間からは胴上げされた。最後のスピーチでは感極まり、声を詰まらせる場面も。「監督、コーチ、スタッフ、選手、ファン…全ての皆さんに感謝。23年間、ありがとう」。観客席に向かって深々と頭を下げ、大きく手を振った。(樋口琢郎)

(2018年10月14日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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