親との“絆”感じられない「愛着障害」 問題行動や学習意欲低下も

和歌山大教育学部・米澤好史教授

 保護者らへの愛着が感じられない「愛着障害」。発達障害と混同されやすく、支援の遅れが課題となっている子どもの愛着障害について、和歌山大教育学部の米澤好史教授が兵庫県加古川市の兵庫大で講演した。要旨は次の通り。(鈴木久仁子)

 愛着とは特定の人との間で結ぶ、情緒的な心の絆のこと。特定の人とは、恐怖や不安から守ってくれてほっとできる人や、離れていても帰って来たら話を聞いて認めてくれる人。そうした人たちとの絆をきちんと結べていないのが、愛着障害だ。愛情が欲しいときに得られず、欲しくないときに無理強いされると、後天的に心理的な問題として引き起こされる。先天的脳機能障害の発達障害とは全く違う。

 原因は愛情の行き違い。両者の関係性の問題だ。施設での養育、産んだ母親の育て方、ひとり親家庭、母親の就労などが原因ではないか-と誤解されることも多いが、いずれも間違い。誰にでも起こり得る。

 家族でも家族以外でも、誰かが母親機能を果たせばいい。母親機能とは、子どもを恐怖や不安から守ってくれて安心でき、落ち着いて癒やされる場所になってくれることだ。産んだ母親と母親機能とは別。保育士でも施設の職員でも親戚でも、子どもと深い関わりのある人なら誰でも担える。

 愛着関係が築けないと、子どもの場合は落ち着きがなく、危険な行動が目立ったり、うそをついたり、自作自演の事件を起こしたりするなど、さまざまな問題行動が認められる。将来的には学習意欲の低下、人間関係のトラブルにつながるケースもある。

 支援の方法はまず、問題行動の原因として愛着に問題はないかと疑い、見極める。時には発達障害と併せ持つこともある。大勢ではなく、誰か決まった人が本人と一対一で対応する。保育所や学校と保護者との連携も大切だ。愛着の修復はいつでもやり直しがきく。 【よねざわ・よしふみ】専門は教育心理学、臨床心理学など。臨床発達心理士スーパーバイザー、学校心理士スーパーバイザーも務める。乳幼児から大人までの全体的な発達支援を学校、保育所などに出向き実践。著書に「やさしくわかる! 愛着障害」(ほんの森出版)、「『愛情の器』モデルに基づく愛着修復プログラム」(福村出版)ほか。

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