最新治療構築、核心へ 山形大に装置初搬入、仙台港から慎重移動

 国内7例目となる山形大の重粒子線がん治療で、精密装置の一部が13日、山形市の同大医学部に初めて運び込まれた。部品を積んだ大型特殊トレーラーは日付が変わったばかりの同市内を“大移動”。夜明けを待ち、同学部敷地内でクレーンを使って、荷下ろしが行われた。2020年3月の治療開始を目指し、建屋の建設工事とともに装置の組み立ても本格化する。

 タイヤ66個の全長約25メートルの特殊トレーラーは10日午後10時ごろ、重粒子を照射する「回転ガントリー」の部品の接続リング(直径約5メートル、重量約7トン)を仙台港で積み、出発した。運搬は交通量の少ない深夜や未明の時間帯に限定。衝撃に配慮した時速20キロ前後の低速輸送で、交通規制を敷きながら進められた。

 13日午前0時10分ごろ、特殊トレーラーは山形市松山2丁目の国道13号の2車線を使い通過した。積載された接続リングはブルーシートで梱包(こんぽう)され、黄緑色の蛍光ライトを巻き付け、ひときわ目立つ状態。異例の大移動に、近くの道路工事の作業員も手を止めて見詰めていた。

 当初は午前4時半ごろに医学部着の予定だったが、運搬ルートの通行量が想定より少なく、約3時間“前倒し”で到着。「交通トラブルもなく順調な走行だった」(同学部)という。その後、クレーンを使い荷下ろし作業を始め、午前9時半ごろ、建屋脇の仮置き場に無事運搬を終了。部品がそろい次第、順次、組み立て作業に入るという。

 回転ガントリーは円筒型で、世界3台目の超伝導技術を採用。治療装置の核でメーカーの東芝(東京)が「山形モデル」として小型化を図った。特殊トレーラーでは、ガントリーの胴体部分をつなぐ接続リングなどを運ぶ。本体や電磁石などは低床トレーラーで運搬する。装置、建屋ともに19年3月の完成を目指す。

 重粒子線治療は炭素の原子核である重粒子(炭素イオン)を、大型装置で加速して局所に照射する。同学部は「装置の部品が搬入され、整備事業がいよいよ核心に入ってきた」と話す。

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