鋼製波板、相次ぐ台風で引き合い急増 品薄感強まり一部欠品も

 屋根や壁といった外装材に使われる鋼製波板の引き合いが急増している。9月末から10月初めにかけて日本列島を縦断した台風24号をはじめ、相次ぐ台風による荒天被害の影響で引き合いが急増。メーカーや流通が抱える在庫に限られる特性から、都市部の需要地に近いエリアを中心に品薄感が強まっており、一部で欠品も散見される。

 メーカー各社は操業度を上げて出荷対応に臨む一方、原板コイルや輸送手段の確保に追われている。市場からは早期の増産を求める声が上がるのに対し、「(一連の事情に起因する)諸課題を着実に解決しながら、総力を挙げてデリバリーに努めている状況」(メーカー幹部)。波板を取り付ける際に必要な留め具(ビス)も「従来に比べてかなり調達が難しくなっている」(線材製品の流通筋)という。

 鋼製波板をめぐっては、加工性の手軽さや一定期間の品質耐久性といった製品の特性を背景に1960年代前後の高度成長期には全国で年間50万トン程度の需要規模に上ったとされる。その後は他素材との競合や市場ニーズの変せんなどもあり、現状ではホームセンターを中心に最盛期の1割程度が流通しているものとみられる。

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