フジクラ、大町市(長野県)と連携協定 情報通信やIoTなど、市民サービスで実証実験

 フジクラは長野県大町市と情報通信やIoT関連技術による市民サービスの向上に向け、連携する協定を結んだと発表した。高齢者福祉などに関する実証実験プロジェクトや技術の検証を共同実施する。10日には市役所で同社の佐藤公紀執行役員と牛越徹市長が調印式に臨んだ。現在はGPS内蔵の靴と、開発品のアプリを入れたスマートフォンを使い、家族が高齢者の居場所を把握する実証実験が行われている。

 フジクラでは2030年を見据えた長期ビジョンで生活の質の向上や最先端の医療デバイスの提供を通じ、健康寿命の延伸に貢献する目標を掲げており、高齢化に関する社会的な課題の解決に向け積極的に取り組んでいる。

 すでに鹿児島県肝付町でGPSモジュールを内蔵した靴を使った実証実験を実施。その後もさまざまな自治体に実証への協力を要請する中で、新技術導入による市民サービス向上に積極的だった同市との協定締結が決まった。

 現在進行中の実証実験で使用しているGPS内蔵の靴は、グループ会社である藤倉ゴムの子会社であるキャラバンのノウハウを生かしたもので、肝付町でのプロジェクトから改良した製品となっている。

 今後は観光や防災、環境保全などについても共同プロジェクトを検討していく方針。フジクラが新技術を、大町市が実証フィールドをそれぞれ提供し合い、市民生活の質が向上する新たなサービスの創出を目指す。

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