金属行人(10月16日付)

 ガソリン価格が高騰している。資源エネルギー庁の直近のアナウンスでは、レギュラーガソリンの全国平均小売価格は1リットル当たり157円50銭と約4年ぶりの高水準だ。米国によるイランへの経済制裁による需給ひっ迫への懸念が背景の一つとされている▼ガソリン価格の上昇に加え、ドライバーなどの人員不足、トラックなどの車両不足によって物流コストは急激に上昇している。中には輸送業者に「お断り価格」を提示されたが、納期を優先するためにやむを得ずそれをのんでしまったケースもあったようだ▼建設用鋼材の需給バランスもタイト感が強まり、市況も上昇傾向が鮮明になってきた。コラムの生産は需要に追い付かない状況にあるほか、H形鋼でも歯抜けサイズが生じている。さらに今夏の荒天による生産ラインへの影響が、こうした需給のタイト感に拍車を掛ける。デッキプレートやハイテンションボルトがその一例で、夏場から一気に需給のひっ迫度合いが深まった▼人手不足や夏場を中心とする荒天は、今年が異常というよりも日本で事業を行う以上は前提条件と考えるべきだろう。需給に見合って諸コストも上昇する。これらを〝たまたま乗り越える〟のではなく、対応策をあらかじめ打っておくことがダメージを最小限にとどめることにつながるのではないか。

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