金属行人(10月17日付)

 特殊鋼棒線の国内需給が一段と締まっている。構造用鋼の店売り扱い筋では夏場前まで「メーカーの納期遅れで在庫水準が低下しているが、発注残があるので、そう心配していない。むしろ需要にブレーキがかかったときの影響を懸念している」という声も聞かれたが、夏場以降は「現物在庫も発注残も減少してタイト感が強まる傾向にある」と感触が変わってきた。市中の荷動きは8、9月と比較的堅調だったが、「店売り実需というより先行き懸念から在庫手当てに動いた仲間向けが下支えした」との指摘もある▼メーカーはヒモ付き、店売りを問わず受注調整を行っており、「複数メーカーがサイズ別に引き受け枠を提示し、その上でサイズ別でも総量でも引き受けを抑制してくる」など受注管理がより細かくなっていることを流通も実感している。大手ユーザーを含めて夏場以降も鋼材値上げの浸透が進んでいるが、大きな理由の一つは需給状況がタイトなことだ▼「以前は『満額を受け入れてくれれば多少の数量増にも応じる』という感じだったが、最近は『ほぼ満額を受け入れてくれなければ今までの量も出せない』という感じ」など、メーカーの切迫度が増していると感じる向きは少なくないようだ。

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