【高校野球】大阪桐蔭、史上初選抜3連覇へ 履正社、明商145キロ1年右腕に注目…近畿大会展望

選抜大会に向けた戦いが始まる

明石商、神戸国際大付の兵庫勢は好投手そろう

 14日に行われた大阪大会の決勝、3位決定戦を最後に、秋季近畿地区大会に出場する16校が決定した。16日には組み合わせ抽選が行われ、来春のセンバツを目指す戦いが20日から本格的に始まる。

 昨年の覇者で、今年2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭は、前チームからほぼメンバーが入れ替わった。8試合のうち7試合は継投で勝ち上がったが、西野、船曵の1年生の中軸コンビを中心にここ一番でたたみ掛けられる攻撃力はさすがの一言。チームのスタートが遅れた中、ファイナリストまで登りつめられた要因は、経験値は浅くても底力がある証拠だろう。これから経験を重ねて強くなれる要素は多く、今秋の戦いも一層注目を浴びそうだ。

 その大阪桐蔭を決勝で破った履正社はエース左腕の清水、1年時からマスクを被る女房役の野口、1年生ながら長打力の高い小深田など前チームからの経験者も多いが、この秋は7試合中コールドゲームがわずか1試合。3回戦以降は僅差の試合が続き、準々決勝の東海大仰星戦では8回、9回に得点を重ねて逆転勝ちするなど厳しい戦いが多かった。それでも準決勝の大商大堺戦では3本の本塁打を放って勢いに乗り、大阪の頂点に。大阪偕星は準々決勝で大体大浪商を4安打完封した145キロ右腕・坪井が投打の大黒柱。初戦の智弁和歌山戦でどんなピッチングを見せるか注目だ。

 開催地・兵庫県は好投手が揃う。優勝した明石商は今夏の甲子園で145キロをマークした1年生右腕・中森を軸に安定した投手陣で勝負。エースの宮口もこの秋に経験を重ね、ピッチングの幅が広がった。神戸国際大付は春にエース番号をつけた右腕・鍵と、松本、西井と複数の投手で接戦を乗り切ってきた。例年ほど破壊力はないが、前チームからパワーのある打者も揃う。報徳学園は今夏の甲子園を経験したエース左腕・林の立ち上がりがカギとなる。今秋ドラフト上位候補の小園から背番号「6」を継承した1番の大崎は足を絡めた攻撃で打線を引っ張る。

福知山成美、京都国際の京都勢は強力打線が武器

 近江はキレのあるチェンジアップが武器のエース左腕の林、強肩と勝負強い打撃を見せる有馬の経験値の高いバッテリーが中心だ。今夏の甲子園で7割6分9厘の打率を残した1番の住谷、1年生ながら攻守にまとまりのある土田などポイントゲッターがどう機能するか見ものだ。

 経験者の多さなら智弁和歌山も負けていない。3番・黒川、4番・東妻、5番・根来の中軸は脅威で、同じく前チームから正遊撃手を務める西川は遊撃の守備に一段と磨きがかかった。俊足巧打の1年生の1番・細川の出塁から打線に勢いをつけたい。市和歌山は全チームから正捕手の米田、3番を打つ緒方が打線を引っ張る。南部は新人戦で智弁和歌山を破った攻撃力で、履正社の投手陣にどう立ち向かうか。

 奈良を制した天理も侮れない。この秋の県大会5試合はすべて2ケタ得点。3番に座る攻守の要・北野が柱だ。ライバルの智弁学園をコールドで下した準々決勝では本塁打を放ち、決勝の橿原戦では5打数5安打をマークした。福知山成美、京都国際の京都勢も強力打線が武器。夏の甲子園メンバーからほぼ入れ替わった龍谷大平安は数々の接戦をものにし、近畿大会切符を掴んだ。伝統の粘りと堅守で初戦の天理戦に臨む。(沢井史 / Fumi Sawai)

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