横浜・黄金町、「アートの街」に変身中!

古着を素材にしたぬいぐるみに囲まれる、参加アーティストの安部泰輔さん(右)=横浜市中区

 横浜の黄金町と言えば、昔は売春宿が密集し、成年男子でもぶらっと近づけるような場所ではなかった。それが、2000年代に入っての“浄化作戦”が奏功し、いまはアートの街として売り出し中だ。街の変身ぶりをアピールするアート祭「黄金町バザール2018」を見てきた。

 会場は、京浜急行で横浜から2駅目の日ノ出町駅と、次の黄金町駅の間の高架下を中心に広がっている。11回目になる「バザール」の今年のテーマは「フライング・スーバーマーケット」。いろんな人や知識が行き交う場を目指すという意味らしい。高架下のほか、商店、寺、アパートの建物のほか、脇を流れる大岡川など計32カ所にアートが展開し、けっこう大きい地域が会場になっている。

 まず黄金町駅からすぐの高架下にあるチケット売り場で入場料700円を払う。そのすぐそばの部屋で、ミシンを動かしている人が。大分から参加しているアーティスト、安部泰輔さんが、古着を使ってぬいぐるみを作っているところだった。来場者に生き物の絵をかいてもらい、それをぬいぐるみに立体化し、「古着の木」にぶらさげる。会期の最後に、絵をかいた人に作品を「収穫」してもらうという参加型アートだ。子どもの参加者も多いというのもうなずける、明るく楽しい空間だ。

 高架下から出て、近くのアパートの建物を使った展示場へ。人の気配がない中をおそるおそる2階に上がると、立体作品や映像が展示されていた。他の展示場もいくつかのぞいたが、アーティストやスタッフの姿はなく、作品や備品が盗まれないかと余計な心配をする。ここまで放っとかれると、不安にもなるが、作品との「対話」をせざるを得ないという効用もある。

 フィリピン生まれの作曲家が、会場周辺の街の音をサンプリングして作ったという音響作品を、大岡川を眺めながら、じっくり鑑賞していると(もちろん独りで)、たしかに風景が変わって見えた。

 この日買ったチケットは会期中、何回でも有効という。次は週末に行くことにした。10月28日まで。(宇野隆哉・47NEWSエンタメ編集デスク)

© 一般社団法人共同通信社