ペットも被災者であることを忘れてはいけない

飼い主も最大限の避難努力が必要

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災害時はペットも被災者です (※画像はイメージです。Photo AC)

過去の災害では、ペットがいるため避難上に入ることを避難所運営関係者により拒否されてしまい、ペットと一緒に過ごすために避難所の駐車場で、車中避難をしながら避難生活を送っていた熊本市西区の女性(51)が、エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)で死亡したケースがあった。

■急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の話(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph46.html

また、その後の大規模災害(九州北部豪雨、大阪府北部地震、平成30年台風第21号、24号、北海道胆振東部地震等)でも、ペットを家族に持つ被災者が避難所に入れないため、車中避難が相次いだ。ペット同居では仮設住宅にも入れないなど、ペット環境が改善されていない問題が自治体によっては未だに存在する。

もちろん日本だけではなく、アメリカや他国でも、赤十字等が運営する避難所のほとんどはペット同伴避難が許されておらず、毎回のように問題となっている。

そんな中、ハワイ島の噴火災害を対応した災害対策・危機管理担当者は、避難住民との様々な地域安全生活上の問題解決やペット同伴避難に関する課題をメディアを通じて公開している。涙を流しながら、自分たちも被災者であり、草も木も、動物たちも全てが被災者であることを訴え、一緒に力を合わせて乗り越えていこうとのメッセージを伝えている

下記のビデオの内容は、市町村の災害対応を被災者に寄り添った心で話し合っている。出来れば日本語化して、全国の災害対策・危機管理担当者に見ていただきたい。きっと何度見ても心が動かされると思う。

Eruption Evacuation Complicated By Pet Rescues (May 4, 2018)(出典:Youtube)

写真を拡大 ペット同伴避難のフロー図 出典:「災害発生時、あなたとペットは大丈夫?」(環境省)
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a/a-1a.pdf

地域防災計画にペット同伴指定避難所のリスト化が必要

平成30年7月豪雨(西日本豪雨)で多くの家屋が浸水被害にあった岡山県倉敷市では、住民の避難生活において、ペットと一緒に過ごせる「ペット同伴避難所」が開設された。

岡山県総社市のスポーツセンター「きびじアリーナ」では、ペットを連れて避難した住民のために、現場職員が隣のサブアリーナにブルーシートを敷き、ペットも一緒に受け入れた。さらに7月10日午後には、総社市役所西庁舎3階の会議室をペット同伴の避難所にした(後日、クーラーが使えないため閉鎖)。

浸水被害がひどかった岡山県倉敷市真備町地区の避難所の一つ、市立二万(にま)小学校では、校舎2階の教室をペット同伴者専用にした。床が汚れないようにブルーシートを敷き、エアコンや扇風機も完備し、暑さに弱いペットにも優しい環境を作った。

総社市に隣接する倉敷市真備町地区では、21日から市立穂井田小学校(同市玉島陶)の体育館にペット同伴の住民用の避難所を開設した。

総社市の担当者は「避難所のマニュアルには『屋外にペット専用スペースを設ける』としていた。しかし避難所を訪れるペット同伴被災者は、そのほかの避難所をたらい回しにされて転々としてきた人が多く、ペットと避難者を分けると、住民と市の担当者の双方のストレスになると判断した。災害時には臨機応変さが大切」という気持ちで、思い切って庁舎内の一部をペット同伴住民用の避難所として開設したという。

また、犬や鳥を飼ったことがある岡山県総社市長の片岡聡一氏は「ペットは家族であり魂。犬や猫と一緒にいれば悲しい、寂しいことも忘れる。被災という困難な状況下でも、愛する家族とともに避難生活できるよう、なるべくいい環境を提供したい」と語ったそうだ。

夏場の気温が高い環境下での避難生活の長期化で、人間と同様、ストレスや熱中症で体調を崩す犬や猫も急増したなかで、上記のいずれのペット同伴避難所も獣医師と保健所職員が毎日、様子を見に巡回診療を行ったという。ペット用診療車では、ノミやダニのケアはもちろん、健康診断や爪切りなども行い、ペットの年齢や体重などに合わせておむつや餌も提供された。

家族動物(ペット)の飼い主も災害時要配慮者に

平成25年6月の災害対策基本法の一部改正により、高齢者、障害者、乳幼児等の防災施策において特に配慮を要する方(要配慮者)となったが、家族動物(ペット)の飼い主も次の災害対策基本法の一部改正で、取り入れていただきたいと思う。

その根拠として、FEMA(米国緊急事態管理庁)が発表している「家庭用ペットおよび奉仕用動物の緊急計画(救助、ケア、シェルター、必要不可欠なニーズを提供する)」の「災害時の動物に関する懸念」(5P)にあるように、ペットと生活している人の生命・身体・財産・生活に大きく影響するからである。

災害時の動物に関する懸念

・ペット連れ避難は乳幼児避難と同じく、準備や避難スピード等が遅れがち
・ペットがいるため飼い主が自ら避難を断念してしまう
・ペットを受け付けない避難所での受け入れ拒否による避難失敗
・避難後に被災した自宅へペットの世話に戻り、倒壊等で死亡
・安全な状態でない環境下へのペット救助の試み
・無計画の民間避難所等へのペット連れによるトラブル
・避難所のたらい回し
・ペット連れ家族の孤立
・ペットアレルギー
・自宅に置いてきたペットの不安による精神的健康問題
・被災により失ったペットロス
・家族の分裂生活

■Emergency Planning for Household Pets and Service Animals
Providing Rescue, Care, Shelter, and Essential Needs
https://www.fema.gov/pdf/conferences/iaconference/2010/wednesday830amhouseholdpetsintro_1.pdf

アメリカ合衆国ルイジアナ州の地域防災計画には「避難時には必ずペットを連れて行くこと。ただし、すべての避難所がペットを受け入れないかもしれないため、日頃から、災害発生時、自宅外へ避難する必要がある場合は、ペットの預け先(知人や友人宅、ペットシェアルターなどの事業所)、ペット同伴指定避難所を把握しておくこと」とし、下記のアプリで、直近のペット同行・同伴指定避難所リストなどを調べることが出来る。

■GETAGAMEPLAN.ORG
http://getagameplan.org

■ルイジアナ州の地域防災計画
http://www.lsp.org/pdf/EmergencyGuidev46b7-14p.pdf

もちろん、ペットと生活する人や家族にとっては「動物=家族」でも、一般的な避難所には動物が苦手な人もいる。自治体は「地域防災計画」「避難所運営マニュアル」に、ペットとの棲み分けや部分的なペット同伴避難所の開設のための工夫と改善をこらしつつ、様々な家族事情をもつ被災者に対して、具体的に向き合う必要がある。

現存する、1763市町村が公表している地域防災計画の避難所運営マニュアルでは、学校の教室をペット同伴専用の避難所として使用している。

さらに避難所運営マニュアルには「アレルギーや感染症予防のため、ペットは避難者の生活の場とは別の場所に受け入れる」とあるが、「施設に余裕がある場合はともに生活できる部屋を別に設けることも検討」と補足されている。

被災環境でペットと過ごすときの注意点

日本獣医師会では、「災害時動物救護の地域活動マニュアル 策定のガイドライン」のなかで、各県の獣医師会は、被災ペットの一時預かり支援を実施したり、行方不明動物の相談やペットの一時預かり先などについて「緊急ペット相談窓口」を設定することなどを地域活動マニュアルに記述するよう指導している。

また、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室や農林水産省生産局畜産部畜産企画課は、「動物の保護等に関して地方公共団体が配慮すべき事項についての基本的考え方について」のなかで、地方公共団体は、「自然災害発生等において、要避難地域における家庭動物等の保護等を行うためにケージ等の必要な資材や飼料等の確保に関する取組(関係する企業等の連絡先の把握その他の供給・調達体制の整備等)を行うこと」としており、ペット同伴・同行避難所における、ペット用の備蓄品についての準備も促している。

もちろん、飼い主が自ら自宅避難を優先し、部分的な耐震化をすすめるとともに下記のような災害時の飼養動物保護についての公的資料を家族で熟読し、また、各居住環境に応じた季節的な準備も行ってく必要もある。

■災害時動物救護の地域活動マニュアル 策定のガイドライン
http://nichiju.lin.gr.jp/aigo/pdf/guideline.pdf

■岡山県における災害時動物対応についての資料
http://www.pref.okayama.jp/page/550671.html

事前に作成しておくと便利な避難所入所時に必要な書類

市町村の災害対策本部訓練を行っているが、避難所班の付加想定に必ず、ペット同伴避難への対応課題をいくつか入れている。そのなかでも、ペット同伴避難所がペット連れの被災者を受け入れるときにどのような情報が必要なのか?というところがいつも課題となってくる。

そこで、下記のような、岡山県が作成して公表している様式を引用し、例としてワードで作り、参考までに紹介している。この内容は最低限、飼い主が日常的に書き込み、印刷して、非常持ち出し袋などに入れて準備しておくことで、ペット同行・避同伴難所への受け入れがスムーズになると思う。

■ペット同行・同伴避難所、仮設住宅入所名簿 兼 登録名簿
https://petsaver.jp/PDF/checkinform.docx

ぜひ、上記を自由にダウンロードし、編集していただいて、日本全国の飼い主が事前に作成し、避難時に活用していただきたいと願う。

また、一般社団法人ペットフード協会によると犬・猫 推計飼育頭数全国合計は、1844万6千頭 (犬:892万頭、猫:952万6千頭) 。3世帯に1世帯はペットを飼育していることがわかる。

■平成29年(2017年)全国犬猫飼育実態調査 結果
https://petfood.or.jp/topics/img/171225.pdf

特に都道県別の犬の登録頭数が多い自治体の市町村から、ペット同伴避難所の運営要領マニュアルやペット同伴に必要な災害備蓄、飼い主は入所時に必要な書類など、双方が力を合わせて、具体的な取り組みを行う必要があると感じる。都道府県別のペット数は、以下の資料から推測することができる。

■都道県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成23年度~平成28年度)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html

(参考資料)
岡山県災害時動物対応要綱
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398881misc.pdf

岡山県動物救護本部設置要領
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398884misc.pdf

岡山県動物救護現地対策チーム設置規程
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398885misc.pdf

岡山県災害時動物対応マニュアル
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398902misc.pdf

避難所におけるペットの受入れに関するガイドライン
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398903misc.pdf

仮設住宅におけるペットの受入れに関するガイドライン
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398906misc.pdf

支援物資払出確認票
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398909misc.pdf

被災ペット・迷子台帳
http://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/5524014398910misc.pdf

(了)

ペットライフセーバーズ
https://petsaver.jp
info@petsaver.jp