大塚家具のセール好調、15カ月ぶり前年同月を上回る勢い ネットサイトも売上増に寄与

 9月28日から10月28日まで最大80%OFFの「在庫一掃セール」を開催中の(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、江東区、大塚久美子社長)は、10月の店舗売上が昨年7月以来、15カ月ぶりに前年同月を上回る勢いのようだ。
 大塚家具は、「在庫一掃セール」の店頭販売に加え、「ヤフオク!」や「amazon」などのECサイトやオークションサイトにも出店。さらに、業者向け卸売も手掛け、在庫圧縮を急いでいる。
 「ヤフオク!」では第三者の販売者がソファーなど、大塚家具の展示品を大量に販売していることもわかった。これについて大塚家具の担当者は、「(在庫一掃セールは)過去のビジネスモデルの在庫を入れ替えるためのセールだ。家具販売店向けにも卸しているが、販売した商品がどのように流通しているかわからない」と、第三者の「ヤフオク!」出品は大塚家具と直接関係ないことを強調した。
 資本・業務提携している貸会議室大手の(株)ティーケーピー(TSR企業コード:296456853、東京都新宿区、以下TKP)の担当者は東京商工リサーチ(TSR)の取材に、「大塚家具へ追加出資の検討はしていない。保有する大塚家具の株式を売却する予定もなく、今の提携で支援していく」とコメントした。また、10月17日にはレンタルスペース予約サービスを手掛ける(株)Rebase(TSR企業コード:300506082、渋谷区)との業務提携を発表した。RebaseはTKPグループと資本関係はなく、レンタルスペースで必要な家具や備品を大塚家具が販売していくという。
 深刻な業績低迷で動向が注目される大塚家具。大塚家具の担当者は「10月売上は(セールで)好調だ」と話し、「在庫一掃セール」が皮肉にも高級家具の安価販売で売上が伸びることを証明した格好だ。ただ、セール後も在庫圧縮のためのセールを続けるかどうかは不透明で、「(セール終了後の)28日以降の方針が決まれば公表する」(担当者)と語るにとどめる。
 店頭で高級家具をそろえた従来のビジネスモデルから踏み出し、15カ月ぶりに売上増が見えてきた。だが、セールでは従来の収益力回復は期待できないだけに、大塚家具の次の選択が注目される。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年10月19日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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