自衛隊「採用年齢」引き上げの裏側

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2018年10月14日、陸上自衛隊朝霞訓練場での陸自観閲式。掲げられた旭日旗と整列した海上自衛官

 防衛省は10月から自衛官の採用年齢の上限を引き上げた。現行の26歳までを32歳までとし、1990年以来28年ぶりの措置となった。背景には慢性的な隊員不足があり、少子化・人口減少に備えて人員構成の見直しをはかったことになる。(共同通信=柴田友明)

 「より高く」と公募意見

 これまで20代半ばぐらいまでが相場だった任官できる年齢が6歳引き上げられた結果だ。従来は18歳以上の若い隊員、高校を卒業したての新人隊員が部隊で養成され、「下士官」である曹クラスになってさらに活躍することが理想とされてきた。しかし、2014年度から17年度まで4年連続で主力隊員の採用数が計画を下回り、人員不足はより深刻となり、32歳で入隊OKとなった。

 8月に省令改正のため行った防衛省のパブリックコメント(意見公募)はその是非を問うたものだった。メールなどで一般から意見を募ったところ、13件すべて(公開分)が「賛成」。中には「国家へ奉仕したいと考える国民が、年齢のためにそれを諦めなくても済むように、年齢制限はより高く設定すべき」「引き上げ年齢いついて、もう少し引き上げて良いではないか」「士や曹に限らず幹部についても、民間からの登用を進めるべきと考えています」など、さらなる採用年齢上限の引き上げを期待したり、民間で勤務経験のある人を幹部にリクルートする案もあった。

 反対意見が全くなく、一糸乱れず賛成意見で埋め尽くされたのは自衛隊関係者の方が多かったのだろうか…

2018年10月14日、陸上自衛隊朝霞訓練場での観閲式で整列する陸上自衛隊員

 53歳定年引き上げ?

 「応募者数そのものは減少傾向にあり、人材を確保するために自衛官の定年延長など各種の施策について検討している」。今年8月に菅官房長官は記者会見で、階級に応じて53歳からとなっている自衛官の定年引き上げの可能性について言及した。

 「精強さを保つため、若年定年制および任期制という制度を採用」。「退職年齢は、幹部・准尉・曹で大部分が54歳~56歳、士で大部分が20歳代という若さです」。防衛省・自衛隊のホームページでは民間企業や一般公務員とは違う定年制について、こういう文章で説明されている。

 採用上限や定年の引き上げは、有事や災害派遣で力を発揮する自衛隊全体の高齢化をもたらすことになる。ある意味、少子化が進む日本社会の現実を反映した措置だ。ただ、これまでの「精強さを保つため」との整合性は問われるであろう。

  一方で、女性自衛官の活躍の範囲が広がり、初の戦闘機パイロットが誕生。男性自衛官最後の「聖域」とされた潜水艦勤務も女性隊員が起用されることになる。詳しくは8月末の【特集】女性初、戦闘機パイロットの任務 潜水艦も女性起用、自衛隊の変容をご参照下さい。