WTCR:2019年に向けプリオール、ターキントンら”ハコの名手”が続々参戦へ

 2019年、シリーズ創設2年目のシーズンに突入するWTCR世界ツーリングカー・カップのグリッドは、来季さらに強化される可能性が高まってきた。すでにツーリングカー界で複数のタイトルを獲得した“スーパースター級”のドライバーがフィールドに並んでいるものの、そこに加えて3度のWTCC世界ツーリングカー選手権王者のアンディ・プリオール、2018年にBTCCイギリス・ツーリングカー選手権で3度目の戴冠を果たしたコリン・ターキントンの参戦が見込まれている。

 WTCCとTCRインターナショナル・シリーズが合流する形で、2018年からFIAのワールドカップ格式のシリーズとして発足したWTCRは、現時点でもツーリングカー界のビッグネームが多数参戦している。

 このWTCR創設に合わせて現役復帰を果たしたイバン・ミューラー(2008年、2010~2011年WTCC王者)を筆頭に、ファブリツィオ・ジョバナルディ(2002年、2011年ETCC、2007年、2008年BTCC王者)、そして現在WTCRの選手権リーダーでもある“鉄人”ガブリエル・タルキーニ(1994年BTCC、2003年ETCC、2009年WTCC王者)らのベテラン勢に加え、2012年WTCC王者のロブ・ハフや“最後のWTCCタイトル”を手にしたテッド・ビョーク(2013~2015年STCC王者、2017年WTCC王者)ら、今昔のチャンピオンが融合したそうそうたる顔ぶれがそろっている。

 そのグリッドに新たに加わる候補者リストで最大の注目となっているのが、現在はWEC世界耐久選手権のLM-GTEプロクラスにフォードのワークスチームからエントリーするアンディ・プリオールだ。

 2005~2007年シーズンにBMWのファクトリーチームでBMW320siをドライブし、シリーズ3連覇を成し遂げたハコの名手は、2002年のBTCCでワークス・ホンダをドライブした時以来のFFツーリングカーでの新シリーズ参戦に意欲を示しているという。

 ただし、2019年シーズンに向けてはすでにフォードとの契約が締結済みとみられ、WECの”2018-19スーパーシーズン”のカレンダーと2019年WTCRの日程バッティングがどの程度クリアになるかがダブルエントリーへの焦点となりそうだ。

 一方、現在もツーリングカーのトップドライバーとして活躍するコリン・ターキントンも、世界戦格式のシリーズへ復帰を狙うひとりと目されている。

 西アイルランド出身のターキントンは、2009年にチームRACのBMW320siで初のBTCCタイトルを獲得した勢いそのままに、2010年にはウエスト・サリー・レーシング(WSR)とともにWTCCの日本ラウンド、岡山国際サーキットで世界戦初勝利を手にしている。

 その後、WTCCとSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権に参戦したのち、2013年にはBTCCに本格復帰すると、2014年、2018年と2度のドライバーズチャンピオンを獲得。いずれもNGTC仕様のBMW125i Mスポーツでの王座で、FR使いのイメージを定着させている。

 現在36歳のターキントンは、直近のWTCR中国・武漢ラウンドでパドックの関係者とも顔を合わせており、同じ週末にCTCCチャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップのフォルクスワーゲン・ワークス、SAIC VW333レーシングの要請を受け『フォルクスワーゲン・ラマンドGTS』というFFツーリングカーをドライブし、ポールポジションと表彰台を獲得している。

 また、BTCCでともに戦ってきたWSRとの2019年契約はまだ未定となっており、BMW UKのスポンサーシップ契約締結交渉が長引けば、WTCR参戦の可能性がより高まると見られている。

 そのほか、今季2018年後半戦からミュニッヒ・モータースポーツに加入し、FK8型のホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握っているティモ・シャイダー(2008、2009DTM王者)も、2019年シーズンは同チームからフル参戦を果たす可能性が高いようだ。

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