注目高まる県民投票 辺野古埋め立て 「撤回の公益性証明」 自治体の協力は不透明

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 名護市辺野古の新基地建設に伴う公有水面埋め立て承認を撤回した県への対抗措置として、政府は行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止の申し立てに踏み切り、再び国と県との法廷闘争に突入する流れが濃厚だ。翁長雄志前知事が実行した撤回判断の正当性を司法の場で争うことになる中で、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票への注目度も高まる。工事再開の行方や裁判日程と絡みながら県民投票の実施時期が焦点となる一方で、石垣市議会で県民投票への反対意見書が可決されるなど自治体の協力に不透明さも出ている。 県民投票の実施を目指す「辺野古」県民投票の会に加わった法律専門家は「辺野古移設に対する県民の反対意思が示されれば、翁長前知事による撤回の公益性が証明される」と指摘し、国との法廷闘争を見越して県民投票の実施を主導してきた。

■反対意見

 効果についてある県議は「投票率が上がらなければ逆に国に利用される。40万人以上が反対したというのであれば政府との交渉のカードになる」と指摘する。

 ただ、石垣市議会では17日、県民投票に反対する意見書を賛成多数で可決し、「一定の政治的主義主張に公費を使用して訴えるものだ」と批判した。今後、投開票事務に必要な予算が市議会で否決されれば、石垣市では投票が実施されない可能性がある。

 玉城知事と政治的に対立する自民党系が首長が務める6市は、県民投票の投開票事務について県の同意回答を保留している。

 県政与党の会派内には「約10万筆の署名に基づいた手続きに反対することはできない」と強気の声がある一方で、「宮古島市や宜野湾市の議会にも石垣市議会の動きが波及しないか」と懸念も広がる。

 県関係者は「新基地建設に反対する人たちは早く意思を示すために実施時期を早めたいと考え、自民側はなるべく工事が進むように実施を遅くして諦めムードを高めたいのがあるのだろう」との見方を示す。

■2択と4択

 石垣市議会に先立つ16日、県議会米軍基地関係特別委員会では県民投票条例案が採決されるはずだったが、先送りされた。野党の自民党と中立の公明が賛成と反対の選択肢に「やむを得ない」「どちらでもない」を加えて4択にする修正案を提出。与野党で折り合いがつかず会派に持ち帰りにしたためだ。

 県政与党県議は「選択肢を増やす野党の案にはどうせ乗れない。委員会で採決を急ぐべきだったのに、石垣市議会の反対決議の隙をつくった」と唇をかんだ。

 翁長県政時代にも県政与党内で埋め立て承認撤回前の県民投票実施を議論しながら、保守系首長のいる市町村に事務協力を反対されることを不安視する消極意見もあり、一枚岩になれなかった経緯もある。

 与党県議は「市民団体が署名活動に動いたことで、現時点で何とか県民投票を実施できるところまできた。国が対抗措置を強行するのに、県政与党に対抗策の議論が足りていない」と焦りを見せた。

 (与那嶺松一郎、中村万里子、山口哲人)