【MLB】アルトゥーベの“柵越え”が右飛に…審判は自信「判定を覆すものは何もなかった」

アルトゥーベの打球を捕球しようとしたRソックス・ベッツ【写真:AP】

アストロズは“幻の一発”に泣き崖っぷち、審判は説明「これが一部始終だ」

 17日(日本時間18日)にヒューストンのミニッツ・メイド・パークで行われたリーグ優勝決定シリーズ第4戦は、レッドソックスが8-6でアストロズに勝利し、3勝1敗としてワールドシリーズ進出に王手をかけた。結果的に2点差での決着とあって、試合後も物議を醸したのが初回のホセ・アルトゥーベの“幻の本塁打”だ。ファンの妨害で右飛となった判定について、ジョー・ウェスト審判は試合後に「判定を覆すものは何もなかった」と明言している。

 初回に先発モートンが2失点を喫したアストロズ。その裏、1死一塁からアルトゥーベがライトへの大飛球を放った。すると、右翼のベッツが打球を追い、フェンス際でジャンプ。フェンスを越えようかという当たりを捕球しそうになったところで、手を伸ばした観客と接触した。ボールはグラブ、観客の手に当たり、グラウンド内に。アルトゥーベは二塁まで進んでいたが、ウェスト外野審判はアウトを宣告していた。

 ビデオ判定となったものの、覆らずにそのままアウト。スタジアムは大ブーイングとなり、ボールを触ったファンは退席処分となった。

 なぜアウトとなったのか。ウェスト審判は試合後に「彼(ベッツ)がジャンプして打球に手を伸ばした。観客がスタンドから手を伸ばし、プレーのフィールドで彼に接触し、彼のグラブが閉じた」と説明。打球、ベッツのグラブがレールを越えていなかったかとの問いには、いずれも「越えていなかった」と断言した。

 そして、「これが一部始終だ。彼(アルトゥーベ)がライトに打った。彼がジャンプして捕球しようとした。ファンがプレーのフィールドで彼を妨害した。だから、観客の妨害だと判断した」とさらに説明。自分の中ではっきりした判断かと聞かれると「そのとおりだ」と毅然と答えた。

ベッツは捕球に自信「100%捕れていたと確信している」

 審判団が自ら映像を見直す日本とは違い、メジャーのリプレー検証はMLB本部で「リプレー・オフィシャル」が行う。「リプレー・オフィシャルは私が正しいと言った。以上だ。彼は私の判定を覆すものは何もないと言った」。MLB本部もウェスト審判の判定を支持したという。

 一方で、守備を“妨害”される形となったベッツも「あの打球が捕れると、ほぼ確信していたよ」と断言。「けれどジャンプしてフェンスを越えて、手を差し出した時にグラブを誰かに押し出された感じがしたんだ。リプレーも少し見ることができたけど、彼らは打球を捕ろうとしていたんだろうね」と続けた。

 ベッツはその後、大きなブーイングを浴びたが「ただ守備に集中していたよ。色々話し声が聞こえるからね。振り向いて彼らに笑顔を見せただけさ。それ以外は守備をしていただけかな」と、意に介さず。ウェスト審判のアウトのコールについては「捕れると思っていたから(自分は)驚いていなかったと思う。あのような(インターフェアの)場面を経験したことがないんだ。そういう理由で、彼があのようなコールをしたことに僕が驚いていたと、言えるのかもしれないね。映像を確認すると、彼は正しい判断をしたと思う。なぜなら僕は間違いなくグラブにボールが収まると感じていたからね」と話した。

 米紙「ニューヨーク・ポスト」では、試合後のアルトゥーベの「普段は審判の判定に怒ったりはしないんだけど、あのプレーに関しては少し腹が立ったね」というコメントを紹介している。だが、ベッツは「あの打球なら捕れただろうね。100%捕れていたと確信しているよ」と自信を持っており、ファンの介入がないように何かを間に置くべきではないかという意見には「いや、それも試合の一部だから。単にそこまで頻繁にそういったことは起きないということに過ぎないよ。ファンにとっては(選手を近くで見ることができて)素晴らしい時間になる。良くも悪くも、僕たち選手たちもファンとかなり近くで触れ合えるからね」と否定的な考えを明かした。

 このプレーが最終的にどのような形でシリーズに影響を与えるのか。アストロズは、まず第5戦で地元ファンの前で奮起したいところだ。(Full-Count編集部)

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