広島ベテラン新井が逆転呼び込む同点打 ガッツポーズに「感情が爆発した」

広島・新井貴浩【写真:荒川祐史】

新井の同点打の後には菊池が決勝3ラン「打つだろうと思っていた」

■広島 4-1 巨人(18日・マツダスタジアム)

 広島の新井貴浩内野手が代打で同点打を放ち、チームを劇的な逆転勝利に導いた。巨人の田口、畠の継投の前にチームはわずか1安打。敗色ムードも濃厚になりかけた8回、今季限りで引退を決めているベテランが大仕事をやってのけた。

 2死から代打の松山が四球を選ぶと続く代打・新井の5球目に代走の上本が二盗を決めた。カウント2-2から畠の6球目をとらえた打球はレフト線を破り、上本が同点のホームを踏んだ。新井は「打ったのはフォーク。追い込まれていたので、全部の球種に対応できるようにしていた」と、ベテランらしい技ありの一打だった。

 2ストライクと追い込まれたが、「(上本)崇司が走ってスコアリングポジションまで進んでくれたので、そこでもう一度、グッと気持ちが高まった」と振り抜いた打球が、暗いムードに沈んでいた試合の流れを変えた。

 15年にカープに復帰してから4年間、常に周囲のことを考えてプレーしてきた新井は、この日も口に出るのは他人のことばかりだった。「ベンチでみんなすごく喜んでいたし、球場のファンも喜んでくれていたのが分かったので、すごく興奮した」と喜び、「感謝」という言葉を何度も繰り返した。無意識に出たガッツポーズについて「冷静に考えると恥ずかしい」と周囲を笑わせた後、「感情が爆発したんで、そこは仕方ないよ」と、照れたような笑顔を見せた。

 新井の同点打の後、「かわいい後輩」の中でも特に新井を慕う菊池の一発で、試合の行方が決まった。「ベンチで見ていて打つだろうと思っていた。打った瞬間にいったと思った」という弟分の決勝3ランで、チームは昨年果たせなかった日本シリーズ出場に王手をかけた。「みんなと少しでも長く野球をやりたいという気持ちがある」というプロ20年目のベテランは「まだまだ先があるからね」と、自らの、そしてチームの悲願でもある日本一に向け、気合いを入れ直した。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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