クレインハーバー長崎ビル 経常赤字4700万円 昨年度 5フロア中、入居は1社

 長崎県は18日、長崎県産業振興財団が昨年整備したオフィスビル「クレインハーバー長崎ビル」(長崎市出島町)について、5フロアのうち10月までにチューリッヒ保険(東京)1社しか入居せず、昨年度は経常収支が4700万円の赤字だったことを明らかにした。

 長崎県議会予算決算委員会農水経済分科会で、山田博司委員(自由民権会議長崎)の質問に佐倉隆朗県企業振興課企画監が答えた。

 クレインハーバー長崎ビルは企業誘致による経済活性化を狙い昨年12月に完成。今年2月にチューリッヒ保険が入居した。2019年1月にFWD富士生命保険(東京)が入居する予定。

 長崎県は当初、完成時点で5フロア中3フロアが埋まると見込んでいた。長崎県企業振興課によると「同ビルに入居すると予想していた企業の事業計画が変わった」ことなどを理由に、1社のみの入居になったという。

 昨年度の経常収入は5700万円で、経常費用は1億400万円。ただ、経常収支から減価償却費を除き敷金収入を含めた事業活動収支は、3300万円の黒字になるという。中村和弥委員(自民・県民会議)は「競合する民間オフィスビルがいくつ建つかなど調査が必要」と指摘した。

 クレインハーバー長崎ビルは長崎県が15億5千万円、長崎市が13億4700万円を同財団に貸し付けて建設。長崎県企業振興課は貸付金の返済が始まる2021年度までに5フロア全ての入居を目指すとしている。

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