三浦清宏氏の碑、新たな文化スポットに

室蘭・港の文学館

©株式会社室蘭民報社

港の文学館の敷地内に建立された三浦清宏文学碑の前に立つ、室蘭出身の芥川賞作家の三浦氏

 室蘭市港の文学館(海岸町)の開館30周年を記念して敷地内に建立された、室蘭出身の芥川賞作家・三浦清宏氏(88)=静岡県熱海市在住=の文学碑。JR室蘭駅に近いことから、室蘭の新たな文化・観光スポットとして注目されそう。三浦氏の経歴を改めて紹介する。(室蘭文学館の会発行「文学碑を訪ねて」より)

 1930年(昭和5年)9月10日、母親の実家の小林写真館(海岸町)で生まれた。5歳まで室蘭で暮らした。

 東京大学文学英文学科を中退して渡米。サンノゼ州立大学で歴史を専攻し卒業、アイオワ大学で詩の創作を学んだ。ニューヨークで旅行会社、パリで航空会社に勤務した後、62年、10年ぶりに帰国。翌年、米国で知り合った作家、小島信夫氏に小説を書くよう勧められ、師事した。

 67~2001年(平成13年)まで明治大学で英語を教える傍ら執筆。1970年、文芸誌「群像」にパリでの生活を元に書いた小説「立て、坐れ、めしを食え、寝ろ」を発表した。88年に芥川賞を受賞した「長男の出家」は、39歳から自ら始めた座禅を発端に、長男が出家に至るまでの家族の心情を元に描いた。

 禅や心霊の研究に関心を持ち、91~99年、日本心霊科学協会の理事を務め、著作も数多くある。

 2002年(平成14年)から4年間にわたり、室蘭民報紙上に連載したのが、写真館を営む三浦氏の母の実家を起点に書き上げた長編小説「海洞(アフンルパロ)の街」。

 室蘭に伝わるアイヌ民族の伝説と激動の昭和を重ね合わせ、自身を反映した主人公の軌跡の物語。三浦氏の親戚で室蘭出身の元衆院議員、故南條徳男氏の半生や室蘭の歴史と自然が豊富に織り込まれている。06年に第24回日本文芸大賞を受賞。文学碑には小説の一節が刻まれている。

あす朗読会

 室蘭市海岸町の港の文学館主催の第13回「あなたのあなたによるあなたのための朗読会」があす20日、同館で開かれる。高校生から70代の市民ら13人が、お気に入りの小説や詩、エッセー、コラムを朗読する。チェロ演奏も披露される。

 午後1時開会。第1部は自由作品、第2部は宮沢賢治作品がテーマ。同2時40分から賢治作品「セロ弾きのゴーシュ」の朗読とチェロ演奏のコラボレーションを届ける。チェリストは北海道シュタイナー学園いずみの学校(豊浦町)の音楽教員、鈴木友美さん(29)。演奏後、第2部に入る。

 同館では賢治の企画展を開催中。横田挺一館長は「文学と音楽にゆったりと浸ってほしい」と来場を呼び掛けている。入場無料。
(成田真梨子)