米軍基地従業員の雇い止め無効 横浜地裁、国に支払い命令

 米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)内での仕事に長年従事し、定年後も同基地で再雇用された横浜市の女性(64)が2度にわたり不当な雇い止めに遭ったとして、地位確認と未払い賃金の支払いを国に求めた訴訟の判決が18日、横浜地裁であった。新谷晋司裁判長は最初の雇い止めを無効と認め、国に約35万円の支払いを命じた。

 判決によると、日米の契約に基づき米軍に労務提供された女性は2014年6月末に定年を迎え、同7月から1年間の有期契約で再雇用された。しかし、英語能力の不足などを理由に15年7月以降の雇用は更新されず、雇い止めとなった。同8月半ばには半年間の新たな有期雇用契約を結び直したが、期間終了後に再び雇い止めに遭った。

 新谷裁判長は判決理由で、「女性の英語能力が水準を下回っていたのか、認定は困難」と指摘。1度目の再雇用時に女性に対して英語能力に関する注意がなかった点なども考慮し、「1回目の雇い止めについて、社会通念上の相当性は認められない」とした。2度目の雇い止めについては合理性があると判断した。

 防衛省南関東防衛局は「判決文を検討し、関係機関とも協議の上、適切に対処したい」と語った。

横浜地裁

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