中上、MotoGPライダーとして初の母国GP。もてぎではMoto2と違い「ハンドリングを重要視しないといけない」

 10月19日から開幕したMotoGP日本GPを、母国グランプリとして迎えた中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)。中上にとってMotoGPライダーとして初めて挑むこのグランプリで、走り慣れたはずのツインリンクもてぎは、また違う顔を見せたという。

 日本GPの金曜セッションは、微妙な天候とコンディションとなった。午前中に行われたフリー走行1回目のコンディションは、晴れ間がのぞく空の下、ドライ。中上はここで19周を周回し、トップのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)から約1.5秒遅れの13番手につける。

 MotoGPマシンで走るツインリンクもてぎは、中上にとってMoto2参戦時代とは違うフィーリングをもたらした。

「ドライに関しては、MotoGPで初めてもてぎを走るということでいろいろデータや映像を見て勉強をしたけれど、Moto2のときの印象とはだいぶ違うサーキットでした」

「複合コーナーがあるので、次のコーナーへの到達スピードが圧倒的に速いです。それからハンドリングを重要視しなければいけないと、走ってみて思いました。ハードブレーキの安定性も大事ではありますが、その(ハンドリングの)バランスをもう少し整えてあげた方がいいかなと思いました」

「フリー走行1回目を走った感じだと、トップと比べてセクター3、4に差があります。ハンドリングの部分でもう少し改善したいです」

 Moto2ではハンドリングは気にせず、主にブレーキングの安定性と旋回性について取り組んでいた。その点、Moto2とMotoGPでは取り組み方が違うという中上。電子制御については加速面で、いかに無駄なく立ち上がることができるかがポイントだと語る。その電子制御については、ドライでのレースとなった2016年のマルケスのデータを入れているという。

「今日、それで(フリー走行1回目は)ある程度走れました。フリー走行2回目で少し変更をして走りたかったのですが、こういうコンディションでしたから、確認程度になりました」

 中上が「こういうコンディション」と語るとおり、天候は午後に向けて雲が厚さを増していき、やがてポツポツと雨粒が落ち始める。しかしMotoGPクラスのフリー走行2回目では、気温は低いものの路面はドライ。

 とはいえ、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)らが走行をキャンセルするなど、微妙なコンディションだった。中上もコースインはしたものの、5周を回るだけにとどまった。

「天気予報では今日、丸一日雨だと思っていましたから、わずかですけどフリー走行1回目で走れたので(よかった)。明日のフリー走行3回目は大事なセッションになります。みんなトップ10を目指して、フリー走行だけど予選みたいになると思います」

 3回のフリー走行総合でトップ10に入ることができれば、予選Q2へダイレクトに進出でき、その時点で12番手以上のグリッドが確定する。中上は初日総合13番手。トップ10も充分、視野に入れることができるポジションだ。しかし「今日のリザルトは参考にしづらいです」と中上は言う。

「明日、ドライになったらフリー走行3回目でみんな新品タイヤを入れてくると思います。その上げ幅を自分も大きくしないといけません。セッション中にどんどん速いところ、遅いところを見極めて、うまくまとめたいです」

 MotoGPライダーとして初めて迎えた母国グランプリ。戸惑いもあるようだが、気持ちの面では「仕上がっています」と力強く言い切る。

「これだけ多くの日本人のファンが応援してくれていますから、それが一番心強いですね。みなさんの力を借りて、自分でもしっかりチャンスをつくっていきたいと思います。もちろん、これまでのグランプリとは気持ちが違いますよ。これだけ見られているプレッシャーを、初日から感じるのはなかなかありませんから」

 予選日である明日の目標について、「フリー走行3回目でトップ10に入ること」と言う中上。その表情に、気持ちの揺れは見受けられない。フリー走行3回目でトップ10入りを果たし、まずは予選Q2へのダイレクト進出を目指す。

初日総合13番手につけた中上

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