警察官らパワハラ被害訴え 神奈川県警が調査

◆威圧的言動、部下休職も

 神奈川県警中原署の男性警視(58)が職務上、繰り返し大声で怒鳴ったり、差別的な態度を取ったりして、部下の複数の警察官らがパワーハラスメントの被害を訴えていることが19日、関係者への取材で分かった。精神的に追い詰められて休職している署員もいるという。県警監察官室が実態把握に乗り出しており、パワハラの有無を慎重に調査している。

 関係者によると、男性警視は昨年9月から同署で勤務。部下の報告に対し「どうなっているんだ」などと威圧的に問い詰める言動を繰り返したほか、日常的に大声で怒鳴ったり、一部の部下に差別的な態度で接したりしていたという。

 県警は情報提供を受けて、今年9月から署員を対象にした聞き取り調査を実施。言葉の暴力で精神的に追い詰められた署員が10人近くいたとみられ、うち1人は休職しており、もう1人も通院しながら勤務しているという。

 県警はこれより前に、署幹部を対象にした聞き取り調査を行い、男性警視に不適切な言動はあったもののパワハラまでは認定できないとして、署長が口頭注意していた。男性警視は、不適切な言動を認め「気を付けます」と反省の弁を述べたという。

 関係者によると、調査は継続中で、県警は10月中にも報告書をまとめ、男性警視に何らかの処分を行うとみられる。監察官室は神奈川新聞社の取材に対し、「調査中で答えられない」とコメントした。

 県警では2016年に泉署の男性巡査=当時(25)=が署内で拳銃自殺。上司らのパワハラがあったなどとして、遺族が県に損害賠償を求めて横浜地裁に提訴し、係争中となっている。

神奈川県警本部

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