広島菊池が勝負強さと好守でMVP 日本一へ「新井さんは来年ニートになるらしい」

広島・菊池涼介【写真:荒川祐史】

3試合で2安打も好守で貢献、緒方監督「ピッチャーも本当に助かる」

■広島 5-1 巨人(19日・マツダスタジアム)

 広島の菊池涼介内野手が、スイープで日本シリーズ進出を決めたクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージのMVPに選出された。

 19日の第3戦も無安打に終わるなど、シリーズ3試合で2安打だった菊池だが、第2戦では決勝3ランを放ち、球界一と評価の高い守備では再三の好プレーでチームの危機を救った。

 今季はリーグトップの30犠打と2番打者としての役割は果たしたが、打率.233と打撃不振が続いた。「シーズンで活躍できなかったので、(ファイナルステージ前の)ブランクの間は2番で役に立てるように練習した。それでも最終的にはホームランで打って活躍する結果になってしまった」と複雑な表情。だが、第1戦では初回無死一塁でエンドランを決めて先制点のきっかけを作り、第3戦では2犠打を記録するなど、つなぎの役割も果たした。

 守備では第3戦の8回、先頭打者の立岡が二遊間へ放ったゴロをダイビングキャッチ。間一髪でアウトに仕留め、緒方監督に「あれは大きなプレー。無死からああいうプレーが出れば、ピッチャーも本当に助かる」と最大限の賞賛を受けた。「3試合ともピッチャーがしっかり投げきってくれた。それを助けたのが守備」と、シリーズの勝因に挙げた指揮官の言葉は、菊池の存在があってこそのものだ。

 チームとしても悲願である日本一への戦いは、今季限りで引退が決まっている新井のためのものでもある。第2戦では“お兄ちゃん”と慕う新井と2人でお立ち台に立ち、「2人でのお立ち台は最後になると思うが、最高の舞台で最高の思い出ができた」と喜んだ。

「ファイナルは勢いで突っ走った部分もあった」という菊池だが、日本シリーズに向けて「勢いも大事だが、チーム一丸、家族一丸で戦っていきたい」と、お立ち台での言葉で意気込みを示した。

「3度目の正直というか、新井さんは来年ニートになるらしいので、最後はいい形で送り出してあげたい」と、最後まで“お兄ちゃん”をイジった弟が、広島のすべての思いを果たすべく、悲願の日本一に向けての戦いに挑む。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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