【平成の長崎】コンピューター「2,000年問題」 長崎県が電算業務総点検へ 平成10(1998)年

 長崎県は本年度から、コンピューターの誤作動が心配されている「2,000年問題」への対応に着手した。電算業務の拡大に伴いプログラム数も膨大になっているため、総点検して西暦2,000年に備える構えだ。

 従来のコンピューターは性能が低かったたえ、西暦を下2ケタ入力で認識させていた。この方式だと、2,000年を「〇〇」と入力するとコンピューターは「1900年」と誤認、正確なデータ処理ができなくなる。行政だけでなく民間などもさまざまな電算処理を行っており、「2,000年問題」は世界的な懸案課題。

 1971年度にコンピューターを導入した長崎県は、これまでに200を超える電算業務を開発した。現在大規模な職員総合システムや県税総合情報管理をはじめ各種統計、調査、資金、手当など計104業務を稼働し、プログラム数は約2万7千本に上る。

 長崎県電算システム課によると、元号が平成になった89年以降に開発したプログラムは、ほとんど西暦4ケタ化に対応済み。プログラム数が3千を超える職員総合システムなどは2,000年になっても問題ない。しかし、それ以外では「どのプログラムに西暦が使われているのか把握していない」(同課)のが現状。

 このため「2,000年問題」対応予算として本年度当初で約3700万円を計上。「2,000年検索ツール」で西暦を使用するプログラムを探し出し、その中から誤作動のあるものをチェック。99年12月31日までに、4ケタ入力プログラムに差し替える計画。

 長崎県電算システム課は「一般的には西暦誤認で年齢や期間の処理に影響が出る。2,000年を前に万全を期したい」としている。

(平成10年5月9日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

長崎県が「2000年問題」対応に着手。来年までにプログラムを総点検する=長崎県電算システム課マシン室

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