【侍U-23代表】若き大砲・安田に待望の一発 先制アーチで日本勝利「勝ちを呼び込める選手に」

チャイニーズ・タイペイ戦で2ランを放った安田尚憲【写真:Getty Images】

稲葉監督も安堵「あの一発で非常に気分も良くなったと思う」

 野球の23歳以下の世界一を決める「第2回WBSC U-23ワールドカップ」は20日(日本時間21日)、オープニングラウンド第2戦が行われ、A組の日本はチャイニーズ・タイペイを3-1で下し、2連勝を飾った。先制点を挙げたのは安田尚憲内野手(ロッテ)だ。3回1死二塁のチャンスで相手左腕の変化球を捉え、右越え2ラン。プロ1年目の19歳ながら3番を任される男の一発が接戦での勝利を呼び込んだ。

「初回にまずいプレーしていたので、それを取り返す気持ちでいた。やっといい打球が打てたので、これを機に明日につなげていきたい。(ロッテでチームメイトの)種市さんが先発だったので、楽に投げさせたいという気持ちもあった。1本早めに出てよかった」

 初回、一塁の守備に就いた安田は、先頭打者の一二塁間への打球を捕球した後、一塁ベースカバーに入った種市に悪送球。記録は安打となったが、チャイニーズ・タイペイに先制のチャンスを与えていた。それだけに、借りを返したい思いが強かった。

 履正社高時代の昨年も高校ジャパンに選ばれ、カナダで行われたU-18W杯に出場、3位の座を手にした。そして、2年連続で着る侍ジャパンのユニホーム。「Uー18(W杯)とはレベルも気候も違う。審判も日本とは違うのでストライクゾーンも変わる。自分で(判定を)決めつけないようにしたい」と、昨年の経験を踏まえ、打席に立っていた。

守備では大きな声で盛り上げる「声でチームを引っ張りたい」

 前日に続き、守備でも一塁から大きな声を出し続けた。「最年少なので元気に声を出して、声でチームを引っ張りたい」。大会前には「プロで1年間やって、対応力がだいぶ変わってきた。シーズンを通してやってきたことで野球をする体力もだいぶついたし、いろんな投手に対応する力が身についた。チームに勝ちを呼び込める選手が理想。一発勝負の中でもしっかり打てる打者になりたい」と話していた安田。この日は6回にも左前打を放ち、これで2試合を終えて3安打3打点。4番内田靖人内野手(楽天)、5番堀内謙伍捕手(楽天)とともに、しっかりとクリーンアップの役割を果たしている。

 大会前の国内合宿から打撃指導を続けてきた稲葉監督も、「この合宿に入って(調子が上がらず)本人がちょっともやもやしていた部分がずっとあったと思うが、あの一発で非常に気分も良くなったと思う。これで上向きになってくれればいい」と復調への狼煙を喜んだ。3点を奪ったもののチャイニーズ・タイペイの先発投手も4回以降は連打を許さず。「毎回台湾とはこういう接戦になってくる。今日の先発投手も非常によかった。その中で勝ち切ることが大事」と、少ないチャンスの中で得点を奪った選手たちを称えた。

 21日(同22日)はメキシコとの対戦が待っている。指揮官は「毎日相手が変わるので、反省するところは反省して、とにかく1戦1戦やっていきたい」と切り替えの重要性を強調。安田も「雰囲気に飲まれず1戦必勝で頑張りたい」と話し、勝てばスーパーラウンド進出が近づく一戦に向け、気を引き締めた。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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