メクル第316号 西浦上小 スウィングホープビッグバンド

「心を一つ」全国大会に初出場

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「イッツ ショータイム!」

 元気なかけ声で軽快(けいかい)なリズムを響(ひび)かせるのは、長崎市大手1丁目の市立西浦上(にしうらかみ)小(麻生毅(あそうたけし)校長、757人)の「スウィングホープビッグバンド」。ジャズを演奏(えんそう)する大人数のバンドで、県内の小学校では唯一(ゆいいつ)のクラブです。音源審査(おんげんしんさ)を見事通過(つうか)し、11月3日に東京で開かれる「日本管楽合奏(がっそう)コンテスト全国大会」初出場が決まりました。部長の小野朱音(おのあかね)さん(11)=6年=は「心を一つにして楽しく演奏したい」と意気ごんでいます。

「全国大会でも心を一つにして楽しく演奏したい」と意気ごむ子どもたち=西浦上小

■魅力はリズム感
 2年前、同校に赴任(ふにん)した森英明(もりひであき)先生(57)が「ノリやリズム感が魅力(みりょく)のジャズを知ってほしい」と発足。それまで活動していた吹奏(すいそう)楽部に、ジャズの演奏も取り入れました。部員は3~6年生の男女20人。週4回、同校で練習しています。
 自然に体が動く独特(どくとく)のスイング感があるジャズ。同じ楽譜(がくふ)でも吹奏楽とはリズムが変わってくるので、子どもたちがこなすにはむずかしさが増(ま)します。でも、ノリがいいのでみんなジャズが大好き。技術(ぎじゅつ)の吸収(きゅうしゅう)も早いです。楽器の発音や発声に変化が見られ、吹奏楽の演奏にも生きているといいます。
 発足からわずか2年半ですが、九州のさまざまな大会で優勝(ゆうしょう)や銀賞にかがやいています。先日も、予選を断(だん)トツのトップで突破(とっぱ)し、「こども音楽コンクール西日本大会」(大阪(おおさか)・12月)の出場権(けん)を獲得(かくとく)しました。昨年は落選した今回の全国大会も、2度目の挑戦(ちょうせん)で音源審査を通過。子どもたちが納得(なっとく)いくまで録音をくり返したかいがありました。九州からは熊本(くまもと)と同校の2校のみ。ビッグバンドスタイルでの参加はめずらしいそうです。

■4パートで練習
 全国大会を約3週間後にひかえた10日、練習にも熱が入っていました。午後4時半から始まり、まずは▽サックス▽トランペット▽トロンボーン▽リズム-の4パートに分かれて練習。「もう一回、ここやってみよ」。メンバー同士でアドバイスしながら、特訓を重ねていました。
 本番では3曲を演奏する予定。メロディーで中心となるサックスは6人がつとめます。重低音を響かせる大きなバリトンサックスの重さは約6キロ。担当(たんとう)する小野さんは「重くてつらいけど、みんなをささえる演奏をする」と、はり切っています。

ひときわ大きなバリトンサックスを担当する部長の小野さん

 決めどころはトランペット。角田優梅(すみだゆめ)さん(12)=6年=がリードトランペットとして、華やかな音色で引っぱります。テナートロンボーンの川口桃花(かわぐちももか)さん(12)=6年=は音楽が好きで入部し、たくさんの友達ができました。それまでおとなしかった自分が「明るくなれた。胸をはって堂々と演奏したい」と、懸命(けんめい)にハーモニーをかなでていました。
 バンドを引っぱる役目のリズムには、ベース音を担(にな)うキーボード、ドラム、木琴(もっきん)、鉄琴(てっきん)があります。ドラムの木下奈菜(きのしたなな)さん(10)=5年=は「自分がくずれちゃうとみんなが合わせられないからむずかしい。でも、重要だからこそ楽しい」と猛(もう)練習していました。

重要なビートを支えるドラムの木下さん

■みんなに感謝し
 廊下(ろうか)でのパート練習が終わると、音楽室で全体練習が始まります。立ったり椅子(いす)にすわったり、サックスは自分たちで考えたフォーメーションを取り入れながら軽快に演奏。森先生が「細かいところまで気を配って」「アクセントつけて」と、きびしく指導(しどう)する場面もありました。

練習終盤は全員で合わせて演奏

 楽しいけれど簡単(かんたん)ではないジャズ。リードサックスの土井理央(どいりお)さん(12)=6年=は「全然うまくできなくていやだと思ったこともあった」と言います。「でも、先輩(せんぱい)たちに相談して乗りこえた。みんなと音を合わせる楽しさが生まれた」と教えてくれました。
 バンド活動へのカンパを地元の祭りで呼(よ)びかけると、10万円以上集まりました。地域(ちいき)にも愛され、親しまれているようです。大きな楽器の出し入れや準備(じゅんび)などは保護(ほご)者に協力してもらっています。ささえてくれる多くの人たちの気持ちにこたえるためにも-。
 みんなでいどむ初めての全国大会。西浦上の強みは「真剣(しんけん)なまなざしと笑顔のメリハリ」と角田さん。聞いて楽しい、見て楽しい、演奏して楽しいビッグバンドを披露(ひろう)するつもりです。