「プレミアビッグクラブで不遇の時を過ごす5人の実力者」

プレミアリーグが開幕し、2ヶ月が経過した。

リーグカップやCL・ELも並行して行われ、チームによっては過密なスケジュールの中で、徐々にそのチームの新しい戦い方や監督による選手の起用法が見えてきた。

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そこで今回は、現在は十分な出場機会が与えられず、不遇の時を過ごすプレミアリーガーの5人を取り上げる。

ファビーニョ

この夏にモナコから高額の移籍金で加入したブラジル代表プレーヤー。

多くのビッグクラブとの競合の末に獲得した今オフの目玉の1人だったが、ここまでプレミアリーグでの出場は21分間のみ。同様に新加入で、ポジションも同じナビ・ケイタが出場機会を得る一方で、苦しい時を過ごしている。

しかし、ファビーニョの持ち味の1つであるユーティリティ性は、今後ますます過密になっていく日程の中で必ず重宝される時がやってくるだろう。

中盤だけでなく、モナコやブラジル代表では右サイドバックを務め、クロップ監督はインタビューの中でセンターバックでの起用も示唆している。

現在リヴァプールでスタメンを張るアンドリュー・ロバートソンも、昨シーズンの移籍当初はプレミアリーグへの適応に長い時間を要した。今は腐らず努力を続ければ、出場機会もおのずと増えてくるはずだ。

ベルント・レーノ

長くブンデスリーガでキャリアを築いた実力者も、今シーズンから活躍の場を移したアーセナルではペトル・チェフの厚い壁に阻まれている。

しかし、その能力に疑いの余地はない。各年代のドイツ代表に選ばれ続け、同年代のマーク=アンドレ・テア・シュテーゲンと常に激しいポジション争いを繰り広げてきた。

お互いのライバル意識が強すぎるあまり時に仲が悪くなり、同じチームに置いておけないと、片方がA代表に、もう片方が年代別の代表に交互に招集される時期もあった。

今回のキャリア初の国外移籍の理由の1つには、永遠のライバルが世界屈指のゴールキーパーに数えられるようになり、代表でもノイアーの牙城を崩そうとしている背景も当然あるだろう。

足下の技術やカバー範囲の広さはチェフにはない武器である。チェフが負傷離脱している今こそ、ポジション奪取の大きなチャンスだ。

ダニーロ

ワールドカップ期間中の負傷の影響で今シーズンは復帰を目指すところからのスタートだったが、先月から戦列に戻ってきた。

しかし、戦力として数えられるかは微妙だ。移籍初年の昨シーズンは3150万ユーロもの移籍金に見合う働きができず、レアル・マドリー史上最悪の補強と揶揄された古巣のサポーターを後悔させることはできなかった。

負傷により不在となったダニ・アウヴェスの代役として活躍が期待されたワールドカップでも、先発起用された初戦でチッチ監督の信頼を得られず、それ以降スタメンに名を連ねることはなかった。

クラブでも、右サイドはカイル・ウォーカー、左はバンジャマン・メンディが不動の地位を築いており、付け入る隙はなさそう。このまま今のクラブでも失敗の烙印を押されてしまうのだろうか。

ダニー・ドリンクウォーター

エンゴロ・カンテとジョルジーニョがチームの歯車として君臨し、残りの1枠をロス・バークリーやマテオ・コヴァチッチ、セスク・ファブレガスが争うサッリ・チェルシーの中盤において、その競争にも加われていないのがダニー・ドリンクウォーターだ。

昨オフにレスター・シティFCから加入すると、エンゴロ・カンテとのミラクルコンビの再結成ということで非常に期待されていたが、蓋を開けてみると出場機会を得るのが精一杯という印象だった。

左のインサイドにはクリエイティブな選手を求めるマウリツィオ・サッリのチームでポジションを掴むためには、カンテもしくはジョルジーニョが競争相手となるため、勝算は限りなく低い。

今オフに放出候補と言われながらクラブに残留した背景は、プレーヤーとしての能力が評価されたというよりはホーム・グロウン・ルールの数合わせに使われたというのが現地の見方だ。

世界最高水準の選手からポジションを奪うという「2度目の奇跡」に期待したい。

ヴィクター・モーゼス

ダニー・ドリンクウォーターと同様に、選手を固定したがるマウリツィオ・サッリのマネジメントの犠牲となっているのがヴィクター・モーゼスだ。

コンテ指揮時に右ウイングバックとして新境地を開くと、プレミアリーグ制覇に大きく貢献するなど不可欠なピースとして数えられていたが、4-3-3を使う現監督のシステムには居場所が見つけられていない。

今のフォーメーションに組み込もうとした場合、本来の適正ポジションである右ウイングもしくは代案として右サイドバックが挙げられる。しかし、マウリツィオ・サッリはナポリ時代から右ウイングにはストライカータイプ、右サイドバックにはインテリジェンスのある選手を好んで起用していたため、非常に分が悪い。

前回のワールドカップを最後にナイジェリア代表からの引退も発表したため、試合勘も心配される。

冬のマーケットで自身に合ったシステムを採用するチームへ移籍する流れが自然か。

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