障害者や高齢者がダイビング楽しむ 小田原で海の魅力発信

 障害者や高齢者がダイビングを楽しむイベントが21日、小田原市江之浦の江之浦漁港で開かれた。県や同市、市漁業協同組合などでつくる実行委員会の主催。男女13人の障害者ダイバーが参加、水中世界を満喫した。

 ダイビングを趣味としていた元東海大学体育学部講師の近藤勝三郎さん(73)=大和市=が、骨形成不全症の大学職員の男性をダイビングに誘ったのが始まり。ダイビングを通じ海の魅力を広めたいと、大学で教壇に立つ傍ら約20年前に、障害者ダイバーやダイバーを志す障害者らを対象としたダイビングクラブを設立した。同大のプールでの練習を経て同漁港などでダイビングを行い、筋ジストロフィーや自閉症、脳性まひなどのダイバー延べ400~500人ほどに手ほどきしてきたという。

 実行委によると、3年前からは、海の魅力を発信して観光客を呼び込む県の「かながわシープロジェクト」の一環として、同漁港で「バリアフリーダイビング」が開催。プロジェクトに位置付けられたことで、障害者ダイバーをサポートするボランティアが増加、昨年11月には県の補助金を活用して多目的機能を備えたトイレ1棟が同漁港に常設された。

 この日は視覚障害者や車いす利用者らが参加。海辺までリヤカーで運んでもらったり、海中ではインストラクターとロープを引っ張り合って意思疎通を図ったり、ボランティアらに手を引っ張ってもらったり。サポートを受けながら、沖合約20メートル、深さ約12メートルの目標地点を目指してそれぞれ2回ずつダイブした。

 ダイビング歴9年で、東京都葛飾区から参加した勝俣京子さん(69)は「イシダイやアオリイカ、クマノミなどが見られて楽しかった」と声を弾ませた。この日はまた、防波堤周辺での水中清掃も行われ、釣り道具やベンチなど約30キロが回収された。

ボランティアのサポートを受けながら海辺に近づくダイバー(左から2人目)=小田原市江之浦

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