核軍縮条約離脱を表明 長崎の被爆者ら「許せない」

 トランプ米大統領が米国と旧ソ連が結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱方針を表明したのを受け、長崎の被爆者や識者からは21日、「核軍縮の流れに逆行する」などと批判や懸念の声が上がった。
 米国を巡っては、昨年12月にトランプ政権下で初の臨界前核実験が行われていたことが今月明らかになり、長崎市の平和公園で同日、市民ら約30人が抗議の座り込みをしていた。そのさなかに届いた離脱表明のニュース。被爆者で、主催団体の山川剛代表(82)は「意義ある条約が破棄されたら、今後どうなるのか。許せない。日本政府も抗議すべきだ」と語気を強めた。
 県平和運動センター被爆連の川副忠子副議長(74)も「トランプ政権は世界の核軍縮を巡って足を引っ張ってばかり。原子雲の下で何が起きたか全く分かっていない。常識外れの行動だ」と批判した。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の鈴木達治郎センター長は、今回も米国の核戦力を強化する新たな指針「核体制の見直し(NPR)」に基づいた動きとの見方を示し、「核軍縮に逆行している」と影響を懸念。米国が北朝鮮に核放棄を求める中、「こういうことをしていては説得力もなくなる」と話した。

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