BS豊平テック、スライド式幌車両を開発 養生シートでの製品被覆作業「安全、迅速、高品質」追求

 JFE条鋼100%子会社で同社豊平製造所の関連製品運送事業や鋼滓・ダスト処理作業などを手掛けるBS豊平テック(本社・札幌市西区、社長・小池正明氏)はこのほど、オリジナルのスライド式幌車両(トレーラー)を配備し、今月から運用を開始した。このスライド式幌の採用により、製品を養生シートで被う作業が安全で迅速・簡単に行えるようになった。また、今後も冬場対策などの改良を重ね、車両性能の向上を図る意向だ。

 今回配備した車両は、荷台両側に荷崩れ防止や荷物固定の目的で鋼材などを立てて使用するステンションタイプのセミトレーラーにスライド式の幌を設置したもの。開閉作業は地上からでも1人で簡単にでき、スピーディーでより安全な養生シート敷設作業が可能となった。また、鉄筋の積み下ろし時に幌に製品がぶつかり、フレームや幌が破損することがないよう、幌に防護枠を設置し、積み下ろし作業時の安全策も講じられている。3年前から検討を始め、今年3月には試作トレーラー1台(21トン)が完成。10月には各種許認可を取得し、公道走行が可能となった。

 一方、降雪・寒冷地の北海道では冬場対策もポイント。季節要因から現場や車両の稼働率は低くなるものの、今後は幌上に積もる雪の問題や可動するシートの耐久性などを検証し改良を図る意向だ。

 鉄筋などを運搬する際、トレーラーに積み込んだ鋼材を雨などによるさびから守るため、養生シートで被うケースが一般的。この一連の作業時に作業者が荷台から転落する労働災害が発生するケースが多い。そのため、荷役作業での労働災害防止に関して厚生労働省から安全対策ガイドラインが出されるなど、運送事業にとって、その解決が喫緊の課題となっている。

 同社は今回のスライド式幌車両のほか、JFE条鋼豊平製造所で生産した異形棒鋼を倉庫(第1~3)内で積載し養生シートを敷設する際、トレーラー横に収納式の作業台(積み込み足場)を設置し、荷台からの転落防止を図っている。また、床面にはクッションを設置し、万一転落した際にも怪我がないよう労働災害防止を図ってきた。さらに3年前には敷地内に裏門を設置して車両のスムーズな動線を確保し、構内の交通面でも効率化と安全を確保するなど、さまざまな安全対策を徹底している。

 同社はJFE条鋼の前身・豊平製鋼の運輸部門が独立して1965年設立。メインの運送事業や鋼滓・ダスト処理作業のほか、73年には札幌市営地下鉄転てつ器保守業務を開始。今年4月には現社名へ商号を変更している。

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