【素材技術で新市場に挑む シリーズ「EV化」企業編(7)】〈電機資材〉電磁鋼板で専門性発揮 材料・技術を熟知、各支店に車担当配置

 新日鉄住金グループの電機資材(本社・東京都千代田区、社長・橋本淳氏)は、70年以上の歴史ある電磁鋼板の専門商社だ。中でも無方向性電磁鋼板は電気自動車(EV)など電動車の基幹となる駆動用・発電用素材、また自動車全般に使われる車載モータ用素材、制御系に必要な電流センサー用などで今後も需要拡大が見込まれる。電機市場や自動車市場、金型やプレス業界など周辺技術の顧客と強固な関係を築いてきた同社には大きなチャンスとなる。

 電機資材は現在の電動化の起点となるハイブリッド車から携わり、長年にわたる蓄積がある。材料や技術を熟知し、これまでの量産車種でも材料選定から試作段階を経て、技術的なバックアップを含めモータコアの製作を支援してきた。その知見を踏まえつつ新日鉄住金と材料面で協調対応し、量産段階で商流・物流も支えていく―。こうした実績を積み重ね、電動車向けニーズを開拓してきている。

 また電機資材の創業以来の顧客である電機業界でも、電装品を含め自動車向けの部品を拡大する動きが加速している。橋本社長は「多くのお客様から電動車への対応という時勢に応じたご要求を頂き、誠にありがたい」と述べ、これまでも育んできたネットワークを駆使し、その強みを発揮していく方針だ。

 電機資材の特色でもあるのが加工拠点。同社は袖ヶ浦(千葉県)と堺(大阪府)の東西にスリットや二次加工の工場を持つ。二次加工では特に重電業界向けの変圧器用鉄芯の製造を中心に、方向性電磁鋼板の拡販にも注力している。

 足元、すでに電機資材の取扱数量は国内変圧器向けの堅調と自動車関連の増産化の流れを受け増加の一途にある。今後さらにEV化の需要増に備え、大阪・名古屋・九州の各支店にも自動車専門の担当者を置き、東京本社で横断的に束ねる組織的な対応を行っている。今後も顧客ニーズへ柔軟に全国で対応し、さらには株主の日鉄住金物産などグループ連携を強化し海外を含めた商機を探っていく。

© 株式会社鉄鋼新聞社