金属行人(10月22日付)

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 今月で創業100周年を迎えた山九。その社名は創業当時の活躍の舞台だった山陽と九州に由来する。さらにもう一つ、その響きにも思いを重ねた。創業者の中村精七郎いわく、「感謝の心を常住坐臥に忘れないようにと云う一念から(中略)山九という字を用いてサンキュウと称することにした」(『山九75周年史』)▼山九は物流、構内作業、機械工事が主力事業。今や海外にも約40の現地法人を持つグローバル企業だ。しかしBtoB企業の宿命なのだろう。素敵な由来のその社名は、なかなか一般に浸透しないという悩みがあった▼ところが最近、社名の認知度が急速に高まっているという。どんな策を講じたのか、思い当たる方もいるかもしれない。昨年から甲子園球場のバックスクリーンに「山九」の2文字が輝いている。プロ野球でも高校野球でもホームランが打ち上がるたびテレビに映り、「ああ、あの山九ね」と浸透し始めたようだ▼もちろん事業の中身を知ってもらうのは大事だが、高校生や大学生が就職先を選ぶとき、社名の認知度が物を言う部分は少なからずあるだろう。人手不足と叫ばれ、人材をどう確保するかが問われる時代だ。100年企業の力の入れように学ぶことがあるかもしれない。