凸版印刷、環境負荷低減の包材でシェア拡大目指す

凸版印刷が開発した環境配慮型包材は、レトルト食品や医療・医薬品のパウチなどに展開できる

凸版印刷はこのほど、レトルト食品や医薬品向けに環境負荷を低減した包材を開発した。パウチなどのパッケージを、水性印刷で有機溶剤を使わずラミネートする(貼り合わせる)技術により、従来の油性印刷・有機溶剤ラミネーションと比べCO2を20%、VOC(揮発性有機化合物)を80%以上削減した。環境対応を求めるメーカーの要望の高まりを受けて開発を進めた。来年2月に本格発売し、2020年度に関連受注を含め20億円の売り上げを目指す。(オルタナ編集部=堀理雄)

凸版印刷は、メーカーなど取引先から環境対応の要望が高まっていることを受けて、環境配慮型包材の開発を進めてきた。VOCについてはEUや中国で排出規制が強まっていることもあり、輸出向けにもVOCの排出削減が重要となる。

同社の生活・産業事業本部ビジネスイノベーションセンター開発本部の香川幸子課長は、「有機溶剤を使用しないことにより、包材生産現場の労働環境改善に資することも重要」と話す。

水性印刷は環境負荷が少なく菓子など軽包装の用途に広く使われているが、耐熱性に課題があり、食品のレトルトパウチなど高温殺菌を行う包材には使用されてこなかった。またラミネート加工の工程では、接着性が優れている有機溶剤を使用するケースが多かった。

同社の開発した技術により、水性印刷と有機溶剤を使わないラミネーション加工を組み合わせることが可能となり、VOCやCO2を削減した包材が可能となった。

有機溶剤を使用した食品パウチなどの場合、溶剤の香りが若干食品に移ることがあるなどの課題があった。有機溶剤を使用しない今回の技術は味覚に影響が出にくく、特に食品や医薬品などへの利用拡大を期待しているという。

販売価格は、従来の包材と同等の価格となる見込み。11月からサンプル出荷を実施し、来年2月から本格販売を開始する予定だ。

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