「給付型奨学金のおかげで進学できた」3割…あしなが育英会の最新調査

©株式会社イード

「奨学生家庭の生活と教育に関する実態調査」記者発表のようす

あしなが育英会は2018年10月18日、全奨学生4,225世帯の保護者を対象に行ったアンケート調査の結果について、東京本部にて記者発表を行った。4月に新設した給付型奨学金制度のおかげで進学できた、との回答が31.9%にのぼるなど、遺児家庭の実態や給付型奨学金の効果が明らかになった。

「奨学生家庭の生活と教育に関する実態調査」は、2002年以来16年ぶりに全奨学生世帯を対象に9月に実施。4,225世帯のうち、62.4%にあたる2,635世帯から回答を得た。回答者と奨学生の続柄は、母親79.0%、父親12.7%、祖父母5.0%、兄弟0.9%など。世帯種別は、母子世帯62.9%、父子世帯7.5%、父親が重度後遺障害の世帯11.6%、母親が重度後遺障害の世帯4.5%であった。調査票の作成と結果分析は、30年以上にわたり遺児の実態調査を続けている筑波大学の副田義也名誉教授(社会学)グループが行った。

全奨学生家庭の親の就業状態については、失業中の世帯が全体の6.7%と一般の完全失業率2.4%の約2.8倍という結果に。母子世帯に限定すると失業率は7.9%にのぼった。就労中の親の手取り収入をみると、1か月平均額が全体で14万6,380円、母子世帯で13万9,173円と、一般の勤労者世帯の世帯主収入の半分以下であることが明らかになった。

教育費の工面については、「教育費以外の支出を削って節約している」53.4%、「預貯金や保険を取り崩している」45.9%との回答が約半数に。収入を増やす方法をとる家庭も多く、「子どものアルバイト」48.1%、「働く時間を増やしている」22.9%、「2つ以上の仕事を掛け持ちして副収入を得ている」12.4%と続いた。「学費の安い進学先をえらんだ」との回答は20.6%が該当。「授業料・実習費・設備費など、学校でかかる教育費が高く支払いに苦労している」40.0%、「子どもの教育費が家計を圧迫している」28.3%など、調査結果からは奨学生世帯が依然として苦しい生活を強いられていることが明らかになった。

奨学金に負担を感じている家庭も9割にのぼり、「負債を背負う子どもにたいして申し訳なく思う」69.9%、「返済していけるかどうか不安」57.2%、との意見も多くみられた。こうした中、あしなが育英会が4月に新設した「給付型奨学金制度」については、「教育費に充当できるため助かっている」73.6%と高く評価されており、「給付制が新設されたおかげで子どもが進学できた」との回答も31.9%みられるなど、困窮する奨学生世帯の大きな助けになっているようすがうかがえた。

あしなが育英会は、一般の大学進学率49.7%と比較して33.7%にとどまっている遺児の大学進学率(2018年)を一般並みに引き上げることを目指し、今後も給付型奨学金をはじめとした遺児への支援を続けていくとしている。調査結果は、あしなが育英会のWebサイトに掲載されている。

畑山望