ブリヂストン 2018スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2018年スーパーGT第7戦オートポリス[GT500]

平川亮/ニック・キャシディ(KeePer TOM’S LC500/BS)が逆転勝利。前戦優勝の山本尚貴/ジェンソン・バトン(RAYBRIG NSX-GT/BS)と同ポイントでトップに並ぶ

開催場所:オートポリス
開催日:2018年10月20日(土)~2018年10月21日(日)

 九州のオートポリスで開催された2018年オートバックススーパーGTシリーズ第7戦は、決勝日に2万380人の観衆を集めた。5番手から決勝をスタートした平川亮/ニック・キャシディ(KeePer TOM’S LC500/BS)は、レース序盤から積極的な展開で順位アップ。ピットイン後にチームメイトの中嶋一貴/関口雄飛(au TOM’S LC500/BS)とワン・ツー態勢を築き、65周レースの60周目にトップに立って今季初勝利をマークした。

<予選>

 秋の気候となった阿蘇の外輪山に位置するオートポリスは、予選日の午前中は、気温が低く路面温度もかなり低かった。各チームは予選前の最後のセットアップを行うべく走行を繰り返すがタイヤのグリップが得られずに、セットアップも思うように進まない状況だった。
 
 午後の予選では気温が上昇、路面温度も30度以上に上がり、想定した路面温度域となった。予選を席巻したのはホンダNSX-GTのブリヂストン装着車だった。
 
 第3戦鈴鹿で優勝した野尻智紀/伊沢拓也(ARTA NSX-GT/BS)が、コースレコードを更新する圧倒的な速さでポールポジションを獲得、トップ3は同じくブリヂストンタイヤ装着のNSX勢。その後ろに中嶋/関口組と平川/キャシディ組が続いてブリヂストンユーザーがトップ5を占めた。

<決勝>

 決勝日は、素晴らしい初秋の天候に恵まれた。決勝のスタート前、既に予選日よりも気温、路面温度が上回る状況となっていた。トップグループの中で4番手スタートの中嶋/関口組がスタート直後に山本/バトン組をパス。なおも前を行く塚越広大/小暮卓史(KEIHIN NSX-GT/BS)に激しく迫って行った。
 
 序盤からペースが上がらない塚越/小暮組を11周目に、トップの野尻/伊沢組を12周目に抜き去ってトップに立つと2位以下を引き離していった。コースサイドで1台がスピン、ストップしてしまってセーフティカーがコースイン。一旦は築き上げたリードがなくなってしまったが、中嶋/関口組はセーフティカーランの終りから即、ふたたびリードを築き上げていった。
 
 各車ピットインを開始した際に平川/キャシディ組が順位をアップして2位に上がり、トムスチームのワン・ツー体制となった。終盤にトップ2台は接近。そして60周目に順位が逆転した。ポイントリーダーで第7戦に臨んだ山本/バトン組が5位フィニッシュして、平川/キャシディ組と67ポイントで並び最終戦を迎えることとなった。

<ドライバーコメント>

2018年シーズン2度目のワン・ツー・フィニッシュを飾ったトムス

平川亮選手

「予選でNSXがすごく速く、決勝でも厳しい展開かなと思っていたので、結果的にトムスチームのワン・ツーで終わることができたので最高ですね。チームはもちろんですが、LEXUS、TRDそして、ブリヂストンタイヤに感謝したいです」

「LEXUSが上位を独占でき、戦略的にもうまく行き、ピットイン後にNSXの前に出られた。これでランキングポイントが同点でトップになれたので、最終戦もこの勢いて行きたいですね」

ニック・キャシディ選手

「優勝できるなんて最高の決勝だった。チーム、TRD、ブリヂストンのおかげだと思っている。タイトルを争っている100号車のRAYBRIG NSXをパスできたのは良かったけれど、決してリスクは負わないように落ち着いて周回を重ねて、そしてパスすることができた」

「ランキングトップに返り咲くことができ、最高の気分だ。チャンピオン連覇のためにこの勢いで最終戦に臨める」

<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:松本真幸のコメント>

「トムスチームのワン・ツー・フィニッシュおめでとうございます。決勝でレクサス勢が順位アップできたのは、NSXと比較してやや硬めのタイヤチョイスをしたことによります。一方今回GT-Rが不調であったことが気になります。GT-Rは、オートポリスにおける事前テストが好調だっただけに残念です」

「ふたつのブリヂストンユーザーチームが同ポイントで最終戦に臨みます。平川/キャシディ組のチャンピオン連覇、あるいは久々のNSXチャンピオン獲得をサポートできる可能性が高まってきました。最終戦のもてぎもしっかりと戦いたいと考えています」

2018年 スーパーGT 第7戦 オートポリス [GT300]

クラス10番手からスタートした新田守男/中山雄一(K-tunes RC F GT3/BS)が今季2勝目をマーク

開催場所:オートポリス
開催日:2018年10月20日(土)~2018年10月21日(日)

 2018年オートバックススーパーGTシリーズは、残すところ2戦。GT300クラスのチャンピオン争いも混沌としてきた。第3戦で優勝を飾っている新田守男/中山雄一(K-tunes RC F GT3/BS)は着実に順位アップし、第1スティントでトップに立つと大量リードを築き、それをキープして今季2勝目を奪取した。

<予選>

 予選のQ1セッションでブリヂストンタイヤユーザーのポイントランキング上位チームに異変が起きた。15分間のセッションが後半に差し掛かり、各車がタイムアタックを始めた。
 
 その時、1台がスピンしてコース上にストップ、赤旗が提示されてセッション中断。ランキングトップの高木真一/ショーン・ウォーキンショー(ARTA BMW M6 GT3/BS)と2位の嵯峨宏紀/平手晃平(TOYOTA PRIUS apr GT/BS)はアタックラップに入っていたが、その周のタイムは計測されず、一旦ピットインせざるを得なかった。
 
 セッション残り時間5分で再アタックをかけるも、タイヤのピークグリップは終わっており、タイムアップならず、Q2進出はならなかった。共にアタックラップの中断がなければQ2進出は確実だっただけに、番狂わせがQ1で起きてしまった。
 
 オートポリスのコースキャラクターにマッチしたマザーシャシーを用いた松井孝充/坪井翔(HOPPY 86 MC/YH)がコースレコードを更新する好タイムを記録してポールポジションを獲得している。
 
 ブリヂストンユーザーの最上位は10番手グリッドを獲得した新田/中山組。12番手に黒澤治樹/蒲生尚弥(LEON CVSTOS AMG/BS)、高木/ウォーキンショー組は22番手、嵯峨/平手組は29番手から決勝をスタートすることとなった。

<決勝>

 決勝レースの前半は、予選順位上位者が若干順位変動しながら進行して行った。19周目に差し掛かりコースオフした車両がストップしてしまい、セーフティカーがコースイン。その後レース再開となると上位車がピットイン、ドライバー交代した際にタイヤを2本交換するなど各チームによって異なる作戦が見られた。
 
 トップグループの背後で着実に順位アップしていた新田/中山組は、スタートドライバーの中山選手がロングスティント、40周を走行。これが功を奏して新田選手がコースインした時点で2位以下に大量リードを築いていた。新田選手はそのままゴールラインを切って優勝。予選で思わぬQ1敗退を喫した高木/ウォーキンショー組も4位まで追い上げてポイントリーダーを維持。2位との差を12ポイントとひろげた。
 
 黒澤/蒲生組が5位フィニッシュしてランキング2位へ。戦略としてピットスタートをチョイスして、硬めのタイヤに交換してレースをスタートした嵯峨/平手組は、10位フィニッシュして貴重な1ポイントを獲得し、ランキング3位で最終戦のツインリンクもてぎを迎える。

<ドライバーコメント>

K-tunes RC F GT3

新田守男選手

「公式予選では自分たちが期待したほどのパフォーマンスを発揮できず、優勝など考えずに今回は表彰台を狙いたいと思っていました。僕らもピックアップでグリップ低下に苦しんだけど、ライバルはもっと苦しんだようで、上位車がピットインしたあとは(中山)雄一がハイペースで走れました」

「ロングスティントでタイヤのパフォーマンスは落ちなかったし、そしてベストなピットワークと、インラップとアウトラップ合わせて15秒ほどマージンを稼げたのが大きかった。チームの仕事ぶりも完璧でした」

中山雄一選手

「オートポリスはタイヤの摩耗が心配なコースと聞いていましたが、土曜日の公式練習から使っていたタイヤが長く持ちそうな感触があったので、予選でもそれを使用しました。予選ではヨコハマタイヤ勢が速かったですが、決勝のペースでは彼らがあまり良くなくて、ブリヂストンの僕らは追いついていくことができ、とても気持ちのいいレースでした」

「『(ピットインまで)残り5周』と無線で知らされてからプッシュしてみたら、簡単にタイムアップでき、まだまだ大丈夫そうなので結局8周も走ってより大きなマージンを築くことができました。ブリヂストンさんのおかげで勝てました!」

<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:松本真幸のコメント>

「優勝チームのロングスティントを強力にサポートし勝利を獲得することができて嬉しいです。今回のオートポリスにおけるタイヤの優位性を証明できたと思います」

「またランキングトップのBMW高木/ウォーキンショー組が4位でフィニッシュするという素晴らしいレースを展開していただきましたし、黒澤/蒲生組の5位、嵯峨/平手組が1ポイントを獲得してランキング3位までを占めています。最終戦も気を引き締めてGT500クラスと共に両クラス制覇に邁進したいと思います」

GT300を制した中山雄一、新田守男

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